し・・・死ぬ・・・これ以上したら本当に死ぬ・・・
あかん
「え?クリア扱いなのか?」
この試練は8つあったはずだ。しかし実際は五つしか行われておらず習得した事を六つ目にしてもあと二つあるはずだ。
しかし俺の前にはクリアを示す表示が示されていた。
突如眩い光に目を奪われ目を開けるとそこはパーティ会場のような場所だった。広い空間に五人しかいないので余計広く感じた。
「おめでとうございます。ブレイブ習得試練完了です」
「おめでと〜おめでと〜」
「意外と早かったじゃねーか、俺に勝っただけはあるか?」
アルファ、ベータ、ガンマの三人から祝福の言葉を受ける。どうやら本当に試練は終わった・・・ように見えた。
「けどあと二つの試練はしっかりとこなしてもらうぜ」
「あ、やっぱりあるのか」
目的自体は達成したが試練はまだ続くようだ。
「はい。では早速ですがここで第7の試練です」
アルファさんが指を鳴らすとテーブルと透明な水が入ったグラスが二つ現れる。
「こちらのお飲物には普通の味の水と激辛成分を含めた水の二種類が入っております。普通の味の水をお飲みください」
必死に匂い等の見た目以外の情報を探るがこれといった違いはなかった。これは二択の直感勝負というわけだ。
こんなのが試練でいいのかよ?クイズだろコレ。
「勘か?桃花、どっちを選べばいいと思う?」
「う〜ん。どっちも飲めばいいと思うよ?」
「え?」
意外な答えを返されて困惑する。どちらも飲むだと?それはクイズになって・・・
待てよ、普通の水を飲めと言われたが激辛を飲んではいけないとは言われてない!しかし辛い思いをするのは嫌だな。・・・ええい!ままよ!
俺は左のグラスを一気飲みする。突如走った衝撃に俺は意識を失った。
「・・・くん・・・勝利君!」
「あ、・・あああ・・・」
意識を戻るのにさほど時間はかからなかった。十分程度であろう。口に広がる辛さが痛みを示し満足に話すこともできそうにない。
「はい、お水」
もう片方のグラスの水を飲まされる。こちらは味などしないただの水だ。仮に味があったとしてもこの辛さの前ではかき消されてしまうだろう。
「しゆかと思った・・・」
あの辛さは今まで体験した辛さとは比べ物にならなかった。辛い物は姉さんから食べ慣れされたわけだがレベルというか・・・ランクが違う。
「さて、とりあえずは正解・・・と言ってやるよ。せいぜいハメを外しすぎないように楽しむんだな」
「じゃあねぇ〜」
二人がその場から姿を消す。ハメを外すな?この開場は確かに馳走があるが食いすぎるなってことなのか?
「では私も最後の試練の準備に入らせていただきますね」
そう言って去るかと思えば耳元でこんな言葉を囁いてきた。
「理性的に挑んでくださいね」
いまいちこの言葉の意味を理解できなかったがとにかく理性は大事にしろということは分かった。
最後の試練・・・一体どんなものなんだ?
「どの料理もおいしそーだねー」
「ああ、そう・・だな」
辛さのせいか頭も上手く働いていないのか頭痛がひどい。これは明らかに普通の頭痛ではなさそうだ。
頭が重く思考も単純になりそうだ。
「甘いもんだな」
口に残った辛さを少しでも和らげる為甘いもの、つまりはスイーツ系を所望した。スイーツの好みは特にないが甘くて刺激が強すぎず、更に瑞々しいもの・・・桃あたりがいいか。
トングを手に取ろうとすると桃花の手が触れる。
「「先どうぞ」」
二人の台詞が嵌りお互いに苦笑する。
「いやここはレディーファーストってやつで・・・
「遠慮しなくていいんだよ?」
お互いが遠慮しあい手を出せない状況になってしまった。しかしここで桃花が機転を利かせてくれた。何処からかスプーンを手にし桃を掬う。そして俺の顔の前に持ってくる。
「はい、あ〜ん」
「・・・あ〜ん」
呆れつつも結局口の中に入れた。こういうことがしたかったのか、満足気に笑顔を浮かべている。・・・妙だな?なんかいつもより桃花が魅力的?に見える。
自分の好きって気持ちをちゃんと伝えたからかな?
その後もいくつかのフルーツというか甘いもの類をあ〜んさせられることになった。
「桃花、ちょっと用たしてくる」
「?何か用事あるの?」
「ただのトイレだ」
そう言って俺はその場を去る。そして個室に入った後過呼吸に似た症状を発する。
「ハァ、ハァ、何か仕込まれてたか?あの水・・・」
舌は麻痺していたが鼻の方はそれほどでもなかった。あの時微かにハチミツの様な香りを感じていた。あれが何か悪さをしていたに違いない。
俺の体内のテストなんちゃらは上がりを止めない。今までに感じたことのない硬度に俺は困惑を隠せず、あの場にい続けたら抑えが効きそうにない。体の芯から燃え上がる様に熱く燃え盛る。
そんな時俺の呼吸が普通じゃないのに気づいたのか桃花が声をかけてきた。
「大丈夫?勝利君?お腹でも痛いの?」
今の状態では声をかけられることすら興奮の原因になりかねない。
「桃花か・・・今は話しかけないでくれ」
しかしこの状況完全にそういう事をさせる為に仕組まれた試練か?さっきの理性的に挑めってそういう意味で・・・
理性を抑えるのは正直無理そうだ。いっそのこと食い物もろとも吐いて少しは紛らわせるか?いや、もう手遅れだろう。
血液にまで染み込んだ成分はそう簡単に取り出すことはできない。
駄目だ。ここで勢いに負けて桃花に襲いかかる様な真似は絶対にしてはいけない・・・
「ブレイブ・・・最大だ!」
こうなれば気絶してでも俺は俺自身を止める。まさかこんなことにブレイブを使うことになろうとは思わなかった。力を使い果たして気絶するのに対して時間はかからなかった。
次に目を覚ましたのはベットの上だった。暖かい掛け布団の中でうずくまる様に入っていた。
「勝利君?ほんとに大丈夫?」
「!?と、桃花!?」
桃花がここまで運んできたのか?いや、腕力的にもそれは考えにくい。
「なんかね、アルファさんとガンマさんが担架持ってきてここに運んでくれたんだよ?」
ご丁寧にダブルか、あの人達も元は姉さんが用意した試練の案内役なら姉さんの思惑通りに動くはずだ。・・・保護者公認か、その点は気にしないかな・・・
先程と違い妙に頭が冴えてきた。身体はキツイが理性はしっかりと乗りこなせている。
「・・・桃花、ゴメン俺自制が効きそうにないわ」
「やっぱり、・・・そういうことしたいの?」
俺は静かに頷く。自然と桃花のことを抱き寄せ唇を重ねた。
「桃花、食べてもいいんだよな?」
「食べる?何を?」
「桃花を」
「私は食べられないよぉ〜んむっ!?」
有無を言わさず再び口を塞ぐ。ああ、ここまできたらもう止まらない。いや、止まれない。あと何回すれば底につけるかまるで分からなかった。しかし、先に底に着いたのは俺の方だった。
「し・・・死ぬ・・・これ以上したら本当に死ぬ・・・」
途中までは俺の方がリードしていたのだが五、六回目に入った辺りだろうか。明らかに手馴れた感じで行為に及び始め、そこからは意識も度々していた。
しかし一時の感情でここまでしてしまうとはまるで成長していない・・・
桃花は満足したのかよく眠っている。まったくこちらの気も知らないで・・・
俺は上半身を起こし頭を抱える。時計を確認するとまだ3時間しか経ってないことに気づく。俺の中では1日ほど経っている気がある。
正直疲れすぎて眠れる様な感じではない。服装を整え俺はベットから出て後始末を開始した。
「ん・・・勝利君、おはよ」
「ああ、おはよ」
桃花が起きたのは二時間ほど経ったあとだった。とりあえずバスタオルを巻いてやり目のやり場には困らない程度の姿にしておいた。
二時間の間にシーツ等を洗い後始末は終わった。
「あっ」
桃花は自分の現状を再確認し顔を赤らめる。今更恥ずかしがることもないだろうにと思ったが色々と始めてのことがありすぎて困惑もしてるのだろう。無理もないか、後半戦は間違えなく理性を失っていたし普段の桃花からは想像できないほどの乱れっぷりだった。
「まぁ、そのなんだ。さっきのことは遠い夢の世界での出来事とでも思って水に・・・
「流さないでよ!私はその・・・あぅ」
自分で言おうとしてさらに恥ずかしがっている。全く可愛いやつだ。
俺は桃花を抱きしめたあと頭を撫でて諭してやる。
「大丈夫、こんなことで桃花のことを嫌いになったりしないよ。むしろ桃花の新しい面が見れてちょっと嬉しい・・・かな」
「嬉しい?」
「そ、俺しか知らない桃花の新しい顔。もっといろんな顔を見せてほしいな」
我ながらちょっとくさい台詞だと思った。けど二人きりだから言える台詞だ。
「むぅ、勝利君はやっぱりスケベだよ」
そう言って俺のことを軽く突き放す。
「えぇ?いやいや桃花の方が・・・
「最初に襲ってきたのは勝利君の方じゃない」
「いやいや後半俺が襲われてたからな。危うく死にたくない死に方しかけたんだからな」
「あれはきっと私の第三の人格が目覚めて・・・
「お前の第三の人格なんて初めて聞いたわ!そもそもそんなものないだろ!」
「あるの!」
「いーや、ない。それなら俺は桃花以外と・・・あっ」
俺も言い淀んだ。これ以上はいけないと感じたからだ。言い争ってお互いに息を切らしていた。
「・・・行こ」
「え?」
「行こう!最後の試練を突破してみんなの元に帰るの!」
「・・・ああ、今の俺たちならどんな壁も突破できそうだしな」
そうだ、俺が今までしてきたことを無駄にしないためにも、俺はまだ止まれない。あいつに、統治に勝ち俺は先に進まなければならない。




