これが超次元ビーチバレーだ!
ギラつく太陽!さらっとした砂浜!そびえるネット!ここから導き出されるものは・・・
「ビーチバレーというやつか?」
「そう、ビーチバレーだ。ルールは基本的なバレーと同様、人数が2vs2であることぐらいが違いだ」
ビーチバレー
スポーツの一つ、バレーボールから派生した球技だ。砂浜にネットを貼りバレーボールするという西洋で生まれたスポーツだ。
通常のバレーより取るべき点数が少なかったりボールがやや軽い等の違いはあるが素人である俺たちには大した関係はない。
そう関係ないのだ、ここに問題外が一人いたから。
「びーちばれー?何それ?」
桃花が何も分からないような反応を返す。この分ではバレーボールのことも知らないだろう。
「いいか桃花、ビーチバレーってのは・・・(説明省略)
「このボールを相手の場所に返してあげればいいんだね?」
「そうだ、それを繰り返して点を取り合うゲームだ。」
簡潔に説明を終え準備体操も終える。さっきの睡眠で十分に体力も回復してるし万全の状態だ。
「こっちはいつでもいいけど、ガンマの相方はどこにいるんだ?」
「すぐそばにいるではないか?」
そう言うがガンマの近くには誰もいない。見えるけど言えないものとでも言うのか?
「おや?気づかないのか、ではお教えしよう」
ガンマの指パッチンを合図に砂が捲き上る。もう一人は砂浜の下で隠れていたようだ。
「っ同じ顔が二つ!?」
双子かと思ったが真実は違った。体の一部がまだ未完成であった。砂から精製された分身、言うなれば砂分身といったところか。
「この砂分身が俺のバディ、そして「「俺がお前達を倒す」」
分身と言うのは声のハモリも同時に行えるのかなどと思う。あれも魔法の一部なのだろうか。
「ではサーブの手本というものを見せてやろう」
ガンマがボールを上げこちらにサーブを打ってくる。いいフォームから放たれるが返せない球じゃない。風もそこまで出てないのでボールはまっすぐこっちに向かってくる。
「桃花!」
俺はボールを上に上げ反撃の準備を整えようとする。しかしボールは摩擦など無いように滑って地面へと落ちてしまった。なんだ今のは?ビーチバレーのボールというのはこんなに滑るものだったのかと一瞬思ったが今のは異常だと素人目でも分かる。
「おい!今の反則じゃあないのか?」
「何を言う?これはただのビーチバレーではない。これは・・・超次元ビーチバレーだ!」
超次元ビーチバレー?また初めて聞く単語に理解する気もなくす。あのボールは水系統の術でボールを滑らせてサーブを打ったんだ。普通のバレーならこんなこと絶対にありえない。・・・いやそもそも砂分身がバレーやってる時点でありえないか。
「本来ならまたこちらがサーブを打つ側だが、そちらもやってみるといい」
サーブ権がこちらに移る、あのような手を使ってもいいのならこちらも同様の手を打つだけだ。
「こちらも行かせてもらうぞ。桃花、準備はいいか?」
「いつでもOKだよー」
一度深呼吸をした後サーブをする。まずはボールを上げスパイクする時に炎の魔法を付加させそのまま放つ。火球と化したボールはそのまま相手コートに向かい、触れるのも躊躇われるのかガンマ達は返すそぶりも見せなかった。
「やったか?」
「やってると思うか〜?」
突如砂浜から水柱が上がる。まるで間欠泉のように飛沫が上がり、ボールの炎を消し更にトスを上げるようにボールが上がった。水のないところでこれほどの水魔法を使うとは・・・
っと感心してる場合じゃない。ここからすぐ反撃されると思いネットの近くに立つ。
ガンマはこちらにスパイクを打とうとするが水浸しになったボールが手を滑らせ
ガンマのコートにと落ちた。
「なっ!?」
あれ?もしかしてあいつアホか?自分の策で失点とは・・・。
「今のは・・・水力を間違えただけだ!次は問題ない!」
ガンマの発言に偽りはなく俺のサーブはあっさり攻略され1セット目は取られた。
「・・・まずいな、攻略法がまるで見当たらん」
「ごめんね勝利君、私ももっとちゃんとやれれば・・・」
「なに、まだ負けたわけじゃない」
セット間の休憩時間に入り作戦を立てる。このビーチバレーというのは想像以上に体力を使う。砂に足を取られ思うように進めなかったりジャンプするのも一苦労だ。また風の影響をボールが受けやすくあらぬ方向に飛ぶのもしばしばだ。
この風というのを味方につければ多少は楽になるだろう。
キーになるのは桃花の力だって事だ。
「桃花、次のセットはボールに触れるな」
「えっ?いいの?」
「俺には俺の仕事が、お前にはお前の仕事がある。役割分担で勝てるかもしれない」
二セット目はこちらからのサーブになり俺は打つ準備をする。今の風は追い風だが俺はエンドラインを狙ってサーブを打った。当然このままではアウトは確実だ。
「どこを狙っているんだ?それはアウ・・・
「桃花!」
「うん!」
俺の合図で風の向きを向かい風に変える。ボールはフォーク軌道でガンマのコートに入っていった。
「なっ?」
予想外だったのか水柱を出すこともしなかったガンマは驚愕の顔を浮かべていた。風以外はなんてこともない普通のサーブで点を取ったことはこの超次元ビーチバレーにおいては貴重な点になるのだろう。その勢いのまま少し接戦を繰り返すも俺たちは第2セットを取った。
「桃花?大丈夫か?」
俺は桃花に水分補給と汗を流す為頭から水を流してやる。相手のサーブ等も風で無理やり押し返したり、こちらに向かい風を送ってエンドラインを超えさせたりと少し無理をさせ過ぎたのかバテているのが見える。
「うん・・・あと一セットくらいは平気・・・」
平気と本人は言っているが体は明らかに疲れを見せている。このままやらせ続けたら途中で倒れてしまう。それだけは避けなければならない。参加できなければこちらの不戦敗扱いになり今まで頑張ってきたのが全て無駄になってしまう。
「こういうのは正直ずるいやり方だと思うんだが・・・桃花耳を貸せ」
「ん?・・・えっ?それってずるじゃないの?」
「残念だが今の俺たちが確実に勝てる方法はこれしかない。邪道と呼ばれても仕方ないやり方だ」
一撃でカタをつけるしかこのバレーを勝利する術はない。
三セット目はガンマのサーブから始まる
サーブは土属性を纏った重量あるボールに変わっていた。風で簡単に動かされないための策であろう。
今の桃花では通常のボールと同じくらいの重さにするので精一杯。しかしそれで十分だ。
まずは俺がトスでボールをあげる。その瞬間土を炎で払いのけ重りを取り除く。
その次は桃花のトスでコート側ではなくただ上にあげようとする。上がったボールを風で上に、ただ上にひたすらに上がる。
その上昇気流に俺も乗りボールに近づいていく。竜巻のように回転する風に炎を纏わせガンマのコートにスパイクを放つ。
その炎は言うなれば火災旋風。もはやこのボールは点を取りにいってない。相手をプレイ不能にする気しかない。しかしこれは超次元バレーボール。何の問題もないはずだ。
「これが、俺(私)達のビーチバレーだ!」
この戦術、まさに外道と言われてもしかたない。それでも勝つためには短期決戦を目指す必要がある。その為の大技だ。
「させるかぁ!分身よ、その体を借りるぞ!」
ガンマの砂分身は砂に姿を変えガンマの全身を鎧のように纏う。そして炎の渦に入ったボールをトスしようとする。
「うおぉぉぉぉぉ!」
ガンマは負けじと雄叫びをあげる。今の一撃で桃花はくたびれて横になっている。これを返されれば俺たちの負け、このまま押し切れば俺たちの勝ちだ。
「まだだ、もっと燃えろ!」
俺もそのガードを打ち破ろうとさらに火力をあげる。こうなれば意地の張り合いであり力と力のぶつけ合い。そこには何の小細工も必要なくただボールを落とすだけの話だ。
「落ちろぉぉ!」
そして今ボールが・・・砂上に落ちた。
ガンマもかろうじて無事だが続ける余裕はなさそうだ。
「ったく超次元ってつけりゃなにやってもいいと思ってんのか?」
「・・・なんかすみません」
勝ったのはいいんだが説教くらう羽目になった。場所はビーチのままだが水着から普段着に着替えてきた。
「とにかくだこの試練はお前達の連携を見る為の物であってだな・・・
彼の話を長々と聞いていたが要は仲の良さを見る為のものだったらしい。
なんにせよこれで五つ目の試練クリアだ。




