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三、四の試練

勝利君は自らの意思でセクハラするタイプではないと思うんですがね

ただいま、アルファさ・・・あれいない?

戻ってみるとそこにアルファの姿は無く代わりに布団で寝ている人が一人いた。顔立ちや身長を見てまだ10歳前後だろう。気持ちよさそうに寝ているが状況を説明させる為に少年を起こそうとする。

「おい、起きろよ?」

肩を掴み体を揺らすが少年は起きようとしない。それどころか揺りかごに揺さぶられる赤ん坊の様に眠りが深くなる様るだ。

「ねーねー?起きて?」

今度は桃花がほっぺをつねって起こそうとする。また古典的な手を・・・まあこの場合は最適解だったのか少年は目を覚ます。

「ん・・んんおはよ〜爺ちゃ・・・あれ?違う?」

少年だと思っていたその子の声を聞いて実は女の子だということを知った。

「僕ベータ、よろしくね〜じゃあおやすみ」

自己紹介を済ませて少女はまた眠りに入ってしまった。

「どうする?また起こす?」

「いや、繰り返しになるだけだな。アルファさんもいないし・・・ん?」

前と同じ様にテーブルと二つの飲み物の他に置手紙があるのを確認する。

アルファより

私はこれから最終試練の為の準備に入らせていただきます。代わりにベータ様を置いておきます。彼女から次の試練についてお聞きください。

いや聞こうにも寝ているから聞けないんだが・・・

補足

次の試練は睡眠です。と小さな字で書いてあったのを見つけた。睡眠?それのどこが試練だというのだろうか。

飲み物を飲み干し、少し経つとベータの隣に布団が二セット出てきた。これで眠れという事なのだろう。

「桃花、よく分からんが取り敢えず寝よう」

「よく分からないの?」

「そうだ。だがこれが次の試練である事は間違いないんだ。だから寝よう。とにかく寝よう」

睡眠が試練だというのなら悪魔でも見せつけられるのだろうか?それでも乗り越えなければいけないんだ。




・・・眠れない。桃花は疲れもあったのか簡単に眠りに入ったが俺は疲れているというか疲れすぎているのか?眠りに入る体力すらないのだろう。それでも眠りに入らなければ・・・羊が一匹・・・二匹・・・三・・・と数えてる間に右側に寝ていた桃花が寝返りを打ってこちら側に来た。近いよ、顔が近いよと思いつつも動かなかった、というより動かなかった。右腕が体で抑えられ身動きが取れそうもない。これ余計眠りにくくなったんじゃないか?感触こそ慣れっこだが吐息とかが妙に官能的でもう直球で言えば健康的なエロさを醸し出している。

昔・・・ラグナロクにいた時こんなのとは比べ物にならないくらい激しい物を見てしまった俺はあの状況がどういう事なのか理解できなかった。見たりする分にはそれなりに慣れているつもりではあるが、直接くるとこうも体が固まるというか、緊張するというか・・・

眠りを妨害しに来たのは桃花だけではなかった。ベータまでもがこっちに来た。両手に花といえば聞こえはいいだろう。この状態で寝ろとかもはや拷問か?手を出すなとは言われていないが出したら軽蔑されるだろうな・・・

この試練・・・両腕が塞がったまま誘惑に耐えつつ寝るのか、うん、これ普通は無理だわ。普通に寝させてくれないなら失神してでも眠ろう。

そう考えた俺は口に出ていた唾を飲み込み意識を遠のこうとする。

脳に血を流す量を減らすんだ。

何も考えるな、感じるな、ただ意識を失え。

既にこの思考自体が異常なのだろう。だがこの時俺は思考をやめていたのだ、あまり考えずにいたのだ。だからあんなことに・・・




先に目を覚ましたのは桃花だった。目を覚ますと布団ではなくいくつかの水着が揃えてあるショップの更衣室の中だった。

「あれ?勝利君はどこ?」

「おにーさんはもう先に待ってるよ〜可愛い水着を着て次の試練にそなえよー」

ベータはこの場の案内を始める。彼女は既にワンピースタイプの水着に着替えていた。

「次の試練って水着でやるの?」

「そーだよー、動きやすいほうがいいかもねー」





目覚めた時既に二人の姿はなかった。しかしなんで起きたらプールサイドで寝ているのだろうか?いつのまにか俺も水着に着替えさせられているし・・・

下が柔らかいゴム素材だった為背中はそこまで痛くなかった。首を振り意識を覚醒させていく。

「あれ?なんか見覚えが・・・」

そのプールは学校の二十五メートルあるでかいプールではなくどこぞのマンションかスタジオにでもありそうな小さなプールだった。

俗に言う男なら一度は目にしたことがあるであろう例のプールだ。

なにが例かって?言わせんな。

この後に来る展開もある程度予想通りだった。水着を着た三人の女性が部屋に入ってくる。三人とも非常にスタイルも顔立ちも良く街で見かけたらつい振り返りそうだ。

まっすぐとこちらに向かってくるのを見て俺は咄嗟に立ち上がろうとするがまだ頭が良く動いていないのか立ちくらみを起こし、その場に倒れる。三人は笑顔を浮かべたままゆっくりと俺の事を上半身だけ起こし両腕と背中に体を擦り寄せて着た。

「っ!お、おいそんな押し付けるな!」

この人達が誰なのかはこの際どうでもいいがこうも胸とか押し付けられると多少なれている俺も参りそうだ。だがここで欲望に負けて手を出せば桃花に嫌われそうだな。

「む、メインの登場だよ」

メイン・・・この場合は料理のメインディッシュ的な意味合いだ。桃花がこの場に来たのだ。

「と、桃花!?いやこれは・・・」

桃花はどことなく嫉妬したような目をしてこちらに抱きついてくる。

「へ〜こーゆうのが好きなのかな?勝利君は」

正面から胸の感触を押し付けられ俺は声にならない声を上げる。ここまでされて我慢できる奴など僧か何かだろう。

右手を少し曲げ桃花の胸に触れる。すると明らかに何か違うような感触に気づく。

おかしい、こんなに大きいわけがない。感触も少し違うし何より人特有の暖かさがまるで感じられない。

「違う、お前は桃花じゃない!」

胸を握りつぶすほど力を入れる。そろそろ頭も冴えて来た。雄叫びを上げ気をしっかりとさせ真実を目の当たりにする。

「水風船・・・だと、こんな・・・こんなものに俺は・・・」

さっきまで見てたものは全て幻の類だったようだ。水風船に欲情するとか俺のバカバカ!

頭を冷やす為プールに頭を付け眠気覚ましも行う。

約十秒くらい顔を付けた後顔を上げる。

まだ幻覚が見えるのか?桃花だけだが俺の後ろに立っていた。

また握りつぶすしかあるまい。・・・この時俺は自分の失態に苛立ちを隠しきれずそれが幻であるか違うかなどと考えを持てなかった。

あ、これ本物・・・

「ひゃ、あああ、バカー!」

自分の過ちに気づき咄嗟に手を離すもクリティカルと言わんばかりに顔に平手打ちを食らいプールに入る。

「バカ!バカ!変態!いきなり触るなんて・・・」

「すびませんでじだ・・・」(すみませんでした)

ここで俺への信頼度は一気に下がったであろう。やってしまったことはしかたあるまい。とにかくこれ以上怒らせないよう誠心誠意を込めて土下座をした。まさかこんな日が来るとは思いもしなかった。



「んーなんだかんだで三つ目四つめしれんごうかくおめでとー」

ベータが拍手をくれる。一体どこからが四つ目だったのだろうか?そもそも合格の基準はなんなのか何も答えは出なかった。

「次はねーガンマにいとの直接対決だよー色々と強いからがんばってね〜」






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