センシン 三日目 3一人で行く場合
ルートに分かれている。
この話だけは他とは違うため、先に1.2を読むことをオススメします。
「各自好きなことをしたのち、一時間後にここに戻ってくること。」
「分かりました」
「りょーかーい」
俺はのんびりと買い物・・・なんてやるわけないだろ。
久しぶりに独り身になった俺は、屋上に行き、自販機で缶コーヒーを買い、ベンチに座ってゆっくりしていた。
「ふう〜・・・」
やっぱり俺は、こう、のんびりしているのが一番だ。缶コーヒーを開け、飲もうとした時
左からナイフが飛んできた。
「!!なんだ!?」
咄嗟に避けたため缶コーヒーを落としたが、今はそんなことはどうでもよかった。
ナイフの飛んできた方向を見ると
「天本・・・さん?」
「天本・・・?ああ、この世界ではそう呼ばれてるのですか。」
顔はそっくりさんだか、黒くてフリルがつき、赤い装飾がついている。簡単に言えばゴスロリだ。
「・・・誰だ?誰なんだ?」
「そうですね、貴方が知っている天本氏とは違う次元の同一人物です。」
「?つまり天本さんであって天本さんではない。」
「そうです。・・・名前がないのも不便ですね。シエルとでも名乗っておきましょう」
「・・・目的はなんだ?」
「この世界の秘密を、教えにきました」
「秘密?」
「この世界は滅びる運命です。」
「!?どういうことだ?」
「貴方はこの世界で絶望を知る。運命は変えられない。」
「(何を言ってるんだ?)」
「・・・貴方がいるから、その運命は変えられない。だから私は、この世界のために、貴方を、殺す!」
迫ってくる。右手にナイフを持ち、俺の首を狙ってくる。
「ええい、くそ!」
仕方なく応戦する。しかし、俺の刀捌きはギリギリで躱される。
そして、シエルの刃は俺の首元に向かってくる。
「(しまった!)」
もうダメかと思った矢先、攻撃を止めた。
「貴方の攻撃に迷いが見えますね。本気で私を殺そうとしていない。そんな甘さでは、死にますよ?」
「・・・・・・」
ナイフをしまい、淡々と話す。
「その甘さは貴方の強さであり、また、最大の弱点です。そんな力では誰一人として救えやしません。」
「っ・・・」
「昔のことを考えているのですか?」
「っ、あんたはいったい何なんだ!勝手に淡々と喋って、」
「私はシエル。それ以上でもそれ以下でもない。私は貴方の過去を知っている。」
「っ・・・シエルさんは、何者なんだ?」
「私は傍観者に過ぎません。ただ私は貴方が過去何をしていたかを知っているだけ。」
「・・・それは、天本さんも同じなのか?」
姿が同じで同一人物なら知っていてもおかしくないだろうと思った。
「さあ、それはどうでしょう?」
「あくまで答えないつもりですか?」
「私にはそれを答える権利がないのです。答えは、本人に聞いてください。」
言い終わると、シエルは消えていく。
「!おい、ちょっとまっ!・・・
「心さん!こんなところにいたんですか!?」
月村に後ろから声をかけられた。妙に焦っている。
「どうした?月村?」
「桃花さんが、桃花さんが誘拐されました!」
「はあ!?なんだよ、それ!?」
「詳しくは分かりませんが、リムジンに連れてかれたのは見ました」
「リムジン?」
誰かこの状況簡単に説明してもらいたい。
1桃花が誘拐された。
2車を使っている
3行方は不明
どうすればいいんだ?
そう悩んでいるとケータイに電話が来た。誠治からだ。
「もしもし?なんだ?こっちは今・・・
「目的は知ってるよ。桃花ちゃんがどこに行ったか知りたいんでしょう?」
「ああ、そうだけど、どうすれば?」
「そういうときはまず落ち着こう。」
「落ち着いてられるか!」
「はあ〜分かったよ。笛吹いて、後はそいつがなんとかしてくれるから」
「おい、どういうこ・・・
ツーツーツー
「心さん?」
「切れた、」
笛を見る。特に変わったことはない。
猫の手にも借りたい状況だし、これしか手は無いか。
思いっきり笛を吹く。