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ラグナルクの旅 一章 ナナシマ編  作者: 村田殿
かけらさがし編
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センシン 一日目

センシン。

天本さんの故郷で特にやることもないので休憩するのには十分過ぎる環境だろう。

ここで再認識させるのは俺の目的であろう。

「なんで俺は帰るんだろうな・・」

帰っても特にやることはない。別に帰らなくてもいいかなって最近思ってきた。

「なあ正喝、俺がこの世界に残るとしたら、どうする?」

「どうもしないな、止めはしない。」

「心が決めたことなら止めはしないよ。僕は帰るけど」

二人とも俺がいなくても平気なのか?そんな疑問は波にかき消された。大きく船が揺れた。それが何を示すのか、俺は習慣で分かった。船が港に着いたのだ。




「さて、さっそく私の家に行きましょうか」

天本さんは昨日の事を気にしなかったような顔ぶりだ。

二十分ほど歩き、まるで豪邸並みの広さの家が見えてきた。

「ここが私の家です」

「なんだ?この家?・・・家なのか?これは?」

「家ですよ?ただ庭が広いだけです」

確かに、家の大きさにも驚かされるが、庭の広さの方が驚きだろう。サッカー場といえばわかりやすいのだろうか?それぐらい庭が広い。家はその半分程度だろう。ガーデニングもしてあったのだろう。・・・手入れをしていなかったのか、ほとんどが枯れている。

「ここも久しぶりですね」

「あれ?・・・」

ここで一つの疑問が浮かんだ。天本・・・いや、由佳里さんは桃花の姉だ。確か、最初は父さんとケンカして家出して、それを由佳里さんが追いかけたんだよな。だったらこの家にはその父さんって人がいるのか?

「・・・どうかしましたか?」

由佳里さんが俺の顔を覗き込んできた。

「あ?、なんでもないです」

さっきの話の続きだが、父さんがいるなら母さんだっているはずだ。そんなとこに俺たちがいていいのだろうか。久しぶりの再会だし、空気を読んで俺は少しの間立ち去るか。

「し〜ん。何考えてんの?」

「!なんだ、誠治か。」

「なんだとはなんだよ〜?そんなに驚かなくてもいいでしょ〜」

「あ、まあ・・・」

「で、何考えてたの?」

「・・・俺、ここにいていいのかな?」

「?何言ってんの〜?心がいなかったら僕たちサイシェイでやられてたんだよ?」

「いや、でも結局は誠治が一掃してくれたじゃないか」

「マリンがあったからねえ〜。最初から一掃はできなかった。きっかけを作ったのは勝利だよ」

「そうそう、的確な指示をしてくれたからこそ私は動けたんだよ」

「・・・そうだよな。悪い、変なこと聞いて」

家の中は埃だらけで、とても人が住んでいるようには思えなかった。

「やれやれ、これではゆっくりできませんね。掃除をしましょう」

そう言うと、押し入れから掃除機や雑巾、箒やモップ、水入りのバケツ、さらに、空気清浄機を用意した。

「さて、各自掃除をお願いします」

あまり気は乗らない。しかしやらなければいけない。三時間後・・・

「やっーーーと終わった〜」

「そうだね〜黒いアレも出てきたけど、まさか天本さん、素手で掴んで外に逃がすとはさすがだよね〜」

黒いアレとは想像にお任せしよう。

「ゴホッゴホッ・・・」

正喝は末期でいまは倒れている。

「キレイになったね」

「皆さん、お腹も減ったでしょう。ご飯にしましょう」

「そうだね~。僕も疲れたよ」

30分後

出てきたのはパエリア、マーボー豆腐、後、得体の知れない肉が出てきた。

「あ・あの、この肉は一体?」

おもわず聞いてしまった。

「ああ、それはピーの肉ですよ」

「なっ・・・聞いたこと無いな」

「そちらの世界では無いのですか?」

「少なくとも俺は食べたことない」

「意外と美味しいのですよ」

そう言われ、一口食べてみる。最初の感想は・・・

「かっら」

辛い。前食べた豚の生姜焼き並に辛い。

しかし、耐性が付いていたので、特に問題は無かった。

ピーも想像にお任せしよう。


次は風呂。船の中ではシャワーだけだったので、久しぶりだ。

「ふぅぅ」

流石に疲れが溜まっていたのか、盛大なため息をつく。しかし、家が豪華なら風呂もやはり豪華だった。男四人入っても十分にスペースがある。10×10m程度だろう。

「随分と盛大なため息だな」

「いいだろ?たまにはさ」

「まぁ、お前がそれでいいのならいいんだが・・・」

「どうした?」

「いや、特には」

そう言うと正喝は上がった。

「・・・?」

最近正喝の様子がおかしい。気にしても仕方が無いことなのか?

「・・・あの、心さん」

「ん?なんだ、月村?」

「とても失礼な事なんですが・・・その・・・桃花さんとはどのような関係で?」

「え?桃花は・・・仲間だろ。それにその質問、別の意味で聞こえるぞ?」

「いえ、その、・・・一昨日桃花さんとキスをしていたそうで・・・」

「なっ!あれは・・その、そう!桃花がどうしてもしたいって言うからやったんだよ!」

「これは半殺しモノだね〜師匠さんがいたら今頃の心はどうなっていたことか、ハッハッハッ」

「笑ってる場合じゃないぞ。それに月村だって・・・

「俺が・・・どうかしましたか?」

思い視線を感じる月村が『俺』を使う時は絶対怒っている。

「いや、なんでもない」

「そうですか」

俺たちが出て、今度は桃花と由佳里さんが入った。

「ん、んーーお風呂なんて久しぶりだな〜」

「桃花ちゃん、私が背中流しましょうか?」

「うん、お願い〜」

ザアァーー・・・

二人が入っている間に、歯を磨いたり、布団を敷いたりとまだ仕事は残っている。

所で、女子の風呂は長いと聞くが、実際にそうなのか?少なくとも由佳里さんは、短いと思う。あの人、無駄が少ないから。

桃花は、一人にしておくとのぼせるまで入っているような気がする。そんな些細なことを考えつつも、俺たちは六人分の布団を敷いた。


三十分後・・・

「ふぅ、」

ここまであまり休んでなかったせいか、こうやってゆっくり星を見ることなんてなかった。ベランダにいて、あることを考えた。

「俺は本当にもとの世界に戻りたいのか?」

今更だか、ここでこのまま生きるのも悪くないと思う。

「勝利く〜ん」

「あっ、桃花、どうした?」

後ろから声をかけられたため少しばかり驚いた。

「特に用ってわけじゃないんだ。ただ、悩んでるみたいだったから、私で良ければ相談に乗るよ?」

「ああ、その、・・・

この悩みは桃花には相談できない。元の世界に戻るということは桃花や由佳里さん、それに月村とも別れることになる。由佳里さんならともかく桃花には難しい問題だ。

「師匠元気にやってるかな〜ってさ」

「きっと元気だよ。あんな明るい人が調子悪い所なんて考えられないよ」

見事に即席で話題を見つけた。しかし、師匠が疲れてる姿は見たことが無い。なんとかは風邪をひかないってやつだろう。

「さて、そろそろ寝るか」

「そうだね、おやすみ」

「ああ、おやすみ」



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