サイシェイ〜センシン 船の旅2 友達以上恋人未満
「はぁ」
部屋の中でただ一人溜息をついた。ルビーマリン、アクアマリンとも集まって嬉しい限りなのだが、ここで一つの疑問が浮かび上がった。
「天本さん、どこまで来るんだ?」
確か最初に出会った時は天本さんの家までって言われてた。
そう悩んでいるとやっぱり桃花が来た。
「やっほー、遊びに来たよ」
「・・・やはり来たか、桃花」
「ふぇ?」
桃花が俺に疑問の目をしている。
「船の中で二回も来ているからな。二度あることは三度あるって言うだろ」
「パターン化ってこと?」
「まあ、そんなところ」
さて、今度は何をしにに来たんだが。
「そういや桃花、天本さんの思惑って分かるか?」
「・・・おもわく?」
どうやら意味がよく分かっていなかったようだ。
「つまり、天本さんが俺たちにどこまで着いてくるか?分かるか?」
「う〜ん・・・お姉ちゃんは意外と律儀だからナナシマまで着いてきてくれるよ。きっと」
「そうか、まぁ大丈夫だよな、きっと」
さて、そろそろ聞こうか。
「で、今日は何しに来たんだ?」
「えっとね、その・・・」
「なんだよ?もったいぶるなよ」
「き・・・キスってどう思う?」
「・・・は?ごめん、もう一回言ってもらえる?」
「いや、だからキスって」
「ええええ!?」
何を言っているんだ?いきなりそんなこと聞かれてもな・・・
「そんなこと聞かれても、俺は・・・わかんない」
「え?誠治くんは勝利君に聞けば分かるって言ってたんだけど」
誠治が元凶か。余計なことを・・・
「だいたい、なんでそんなこと気になったんだ?」
「そのさ、お姉ちゃんと月村さんが・・してたから」
「は?」
結局月村さんやりおった!
「で、俺に聞いたわけだ」
「うん」
「・・・俺はキスなんてしたことねーし、されたことも無い」
「・・・してみる?」
「いや、そいゆうことは、その・・・恋人同士でやるもんだろ?」
「別にいやじゃないよ?勝利君は好きだし」
勢いで告白されたが、今の俺には聞こえはしなかった。
「(いや、ヤバイって。このままでは確実に俺は・・・アレ?なんで俺はこんな拒んでいるんだ?」
別に桃花は嫌いじゃないし俺自身拒む理由が見当たらなかった。
「勝手にしろ」
俺はベッドに寝た。
「じゃあ勝手にするね」
桃花は俺の上に跨ってきた。その時正喝が入ってきた。
「すまない!すぐに出る!」
「おい!何か勘違いしているぞ!正喝!」
気がついたら俺の目の前に桃花の顔があった。条件反射で俺は桃花を突き倒した。
「キャ!」
「勝利さん。話が・・・
天本さんが入ってきたが、一瞬で天本さんの顔が怒りに変わった。
「何をしようとしていましたか?」
「いや、桃花が勝手に!」
「まぁ私は桃花ちゃんにキズ一つ付けたら許しませんからね」
天本さんにも誤解された。俺の評価は下がる一方だ。
「え・・と・・私帰るね」
桃花が帰ろうとする。
「まてよ!」
「ん?なに?」
俺は強引に頬にキスをした。
「ん?はわわ・・・」
「・・これで満足か?」
自然と目を逸らす。あいにく、俺もキスをしたのは初めてで気が重かった。
「じゃあ、俺は今度こそ寝るぞ」
「待って。お返し」
桃花も足りない身長をカバーするかのように背伸びして頬にキスをし返してきた。
「ぷはぁ、・・キスって不思議だね。胸の奥がポカポカするよ」
「桃花・・・」
「分かったから帰るね」
「え、ちょま・・・
桃花は聞かずに部屋に戻ってしまった。あんな雰囲気だから今度は・・・