第4話
座って、何話しすればいいの?
私を……どれだけ苦しめるの……?真人のバカ……。
「真人くん。綾ね、友達待ってるんだ。だから、またゆっくり、お話しましょうね。お姉さん。」
ニコッと笑いながら、私に話かける。いつから、私が、あなたの、お姉さんになったわけ?それに、自分の事を呼び捨てにするような子って、嫌なのよね…。
「そっか、じゃあ、また明日。」
また明日?
私の真人が、四六時中、あの子と一緒?最悪だわ…。
「またね。綾ちゃん。」
心では、嘆いていても、笑顔で綾を見送らないと、いけないなんて…やってらんない…。
「はい!」
元気よく笑顔で、返事をし去って行く綾。
真人は、愛おしそうに綾を見送ってる…。
綾ちゃんが、羨ましい…。
もし…私達が兄弟でなければ…恋人になれた?
私にも……綾ちゃんと同じように…愛おしそうに見送ってくれる…?
……こんなに……あなたを想っていても……あなたは気がつかない…。気づいて……。
私を愛して……。愛されない事……気づかれない事…彼女がいる事が…辛い……。
「祐子姉?」
泣きそうな顔になってる……私…。
「大丈夫?辛そうだけど?」
…辛そうなのは、分かってくれるの?気持ちには、気づいてくれないのに?
「大丈夫…。」
無理に笑ったから、ひきつった笑いしかできなかった…真人は、体調悪いんだと勘違いしてる……。
「もう、帰ろうか。身体休めた方がいいだろうし。」
…真人とのデート…自分で無駄にしちゃった……。
だけど、こんな状態でデートなんて…できないもんね……。
「…うん…。」
仕方ないんだ…。
「帰ろう。大丈夫?立てる?」
立とうとした時、身体がフワッと浮いた。
「キャ☆」
「家まで、運んでやるよ。」
キョトンとした顔の私を笑いながら、軽々と抱き抱え、家へ運び始める真人……。
ほんの少しの幸せを噛み締めながら、時間が止まるのを願った……。