第1話
あなたをどんなに愛しているか、あなたは知ってる?胸が締め付けられるくらい苦しいのに…。
あなたは、気付いてくれない…。
気付かないのは、当たり前なのは、分かってる…。
だって、あなたにとっては、私は、姉でしかないんだから……。
「真人?今日、暇?どっか行かない?」
いつも、何気に、どこかへ行こうと誘う私は…きっと周りにだけでも、真人が私の彼氏だと思ってもらいたいから…。
「いいよ。何処行く?後さ…祐子姉、いい加減、彼氏作ったら?」
この言葉は、聞き飽きた…。
「またそれ?真人は、口を開けば、そればっかり、そのうちね。」
あなた以外の人なんて、見えないのよ…。
「祐子姉、美人なんだから、すぐ、できるだろ?」
いつも、[彼氏作れ]の言葉で、苦しくなる…。
だけど、[美人なんだから]の言葉で、苦しさから解放される…私…。
「なかなか、いないのよね。好みな人…。真人が、弟じゃなきゃ、私の彼にしてあげたのにね。」
冗談っぽく、いつも思いを伝えるけど、本気にとらないのは、やっぱり、兄弟だからなんだろう…。
「何言ってんの?バカだな。」
いつも同じ答え…分かっていても、言ってしまう…。…そして、答えては、くれない言葉を…期待してしまう…。
答えを聞いて、傷つくのに……聞かずには、いられない……。
「何処行く?」
真人は、私が、傷ついた事なんか知らないから行き先を決めたがる…。
「映画でも行く?観たいのがあるんだ♪」
兄弟で、観たい映画なんて…ない…。
だけど、…彼氏とならある…。
「じゃあ、行こうか。」
「うん!」
今日も、偽りの恋人ごっこが始まる…。
叶うはずのない…私の恋…。
手にはいらない…私の……大好きな人……。