AGAIN ~あの夏の日のように~
真夏の日差しが眩しい海岸沿いの道
大空を優雅に舞う海鴎たちに誘われて
俺はアクセルを吹かして風を切る
バレンミラーに映るお前の長い黒髪の揺らめき
背中に感じる昂った鼓動と肩に吹きかかる吐息
汗ばんだ胸を押し付けてギュッとしがみ付いていたね
約束の浜辺へと続く道
二人で眺めた夕暮れの太陽
一緒になろうと誓い合った言葉
お前との刻は永遠に続くものだと思っていた
振り返れば
お前がいた
振り返れば
はにかんだ笑顔があった
誰もいない浜辺
夕暮れの向こうにお前を求めて
独り静かな波を眺めて思いを馳せる
手の平にあるのは俺の想いが詰まった誓いのしるし
今は抜け殻のような悲しい記憶
涙に濡れた指輪が悲しい色に光り輝く
写真の中の笑顔はあの夏の日のまま変わらない
抱きしめた時の温もりを感じるぐらいに
遠き日の記憶の欠片よりも
いつまでも傍にいて欲しかった
もう一度感じたい
お前の温もりを
もう一度抱きしめたい
お前を感じていたいから
二人の思い出の日々は今も色あせず
振り返るといつもお前がいた
あの夏の日のことは今も鮮明に浮かぶ
お前の笑顔から零れ落ちた涙
「幸せになろうね」と言った言葉が何度も聞こえてくるよ
明日へと続く道の中
気がつけばいつもお前を背中に感じていた
タンデムシートは空けたまま
俺は独りバイクを走らせる
テールランプが行き交う月夜の道を
振り返っても
お前はもういない
振り返っても
お前の幻を追いかけるだけ
二人を引き裂いた運命の交差点
腕の中で消えていくお前の温もりと悲しい笑顔
微笑んで眠っているようだ
震える華奢な手を握り締めた記憶が俺の心をいつまでも苦しめる
お前を呼び止めていれば
失わずにすんだ
お前を呼び止めていれば
共に未来を歩めた
二人の時間が戻るのならもう離さない
「また明日ね」と言ったお前の手を引いて抱きしめよう
たとえ運命に逆らってもいい
共に歩む未来を取り戻すためなら
お前に会えるのなら
俺は何処までも会いに行く
もし天国から連れ戻せるのなら
俺は羽ばたいて空を駆けるだろう
振り向くとお前がいるのなら
俺は何処までも走り続けよう
あの夏の日のように




