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4.見た目って大事だよね。

 俺は起き上がれるようになってすぐに家族とタク宛てに手紙を書いて琳希に渡した。

 その後は特に変わったこともなく過ぎ、とうとう俺は立って歩けるまでに回復した。


 歩けるようになってまずびっくりしたのは、俺の姿だった。

 部屋の鏡はベッドから離れた所にあったからこっちの世界にきてから今まで自分の姿をみたことがなかった。唯一わかっていたのは、髪の色が俺は黒だったのに対してオウラの髪はルビーみたい紅い色ということだけだった。

 鏡に映った俺の姿はずっとベッドでふせっていたせいで、痩せてはいるが確かにもとの俺とまったく同じ顔をしていた。

 そして、一番驚いたのは、眼の色だった。眼の色が角度によって緑に見える蒼だった。実はこの色、俺の元の身体と同じ色なのだ。クシラで俺がずっと顔を前髪で隠していた理由がこれだったりする。

 思わず鏡に映る自分の平凡な顔を凝視してしまった。

(またなのか!!)

 思わず心の中で絶叫してしまった。


 家族は全員黒目黒髪のなかで俺だけ生まれた時から眼の色がおかしかった。

 父さんと母さんは近所でも有名になるくらいのおしどり夫婦なので、誰も母さんの浮気は疑わなかったらしい。それに、親戚から強く勧められて結局遺伝子検査をやったら、やっぱり父さんと母さんの子供だったんで二人は特に気にせずに突然変異の類だろうと思ったんだと。

 けど、この眼のせいで小学校のころ、変なコレクターのおっさんにさらわれかけてから俺はずっと前髪で顔を隠していた。


 にしても、久しぶりに自分の顔をしっかりみたなあ。

 髪の色が、紅い以外ホント、なんのちがいもねーなあ。

 俺が鏡を凝視してたのを、何を勘違いしたのかカンナが、

「だ、大丈夫です!! 痩せてもあなたはとてもおきれいです!!」

 とか言いやがった。

 思わず全力で言い返してしまいましたよ、ええ。


「は? おきれいです!? 誰が!? 俺のこと言ってるなら、いっぺんお前眼球洗ってこい。

お・れ・は・平平凡凡な顔なんだ! 君の眼には何?不細工でもきれいに見えちゃう不思議フィルターでもかかってるわけですか?」


 オウラの仮面かぶる前から捨てちまいましたよ、ええ。

 てか、演劇部でもない俺にとっさの反応でオウラの振りができるわけがないだろうが。

 ああああああ! 琳希にものすごく文句言いてええええええ!

 無理です、俺オウラの振りとかできません。どうするよ? カンナ、ポカーンって口あけたまんまかたまってるんですけど!!

「え、え? オ、オウラ様ですよね?」


 うーん、どうしたものか。

 実は二重人格なんだ! とでも言ってみるか? ……無理だな。

 だって『二重人格=弱気オウラの振りもする』だぞ!? めんどくさいしややこしい!!

 とぼけてみるか? ……けど、やってしまってから結構時間経ってるし今更それもなぁ。

 しょうがない。…………無理を押し通すことにしました☆


「ああ。俺がオウラだ」

「へっ? お、俺? ……オウラ様どうされたんですか!!」

「どうもしねーよ。もともとの性格が表に出ただけの話だ」

「もともとの性格って…………」

「まあ、簡単に言うとだな、ねこ被ってたってこと。これが本来の性格だ。

だって、身体弱いのに性格これとかダメだろ? だから、軟弱なふりしてたわけ。

まあ、今思いっきり化けの皮はがれちゃったけどね」


 自分で言っといてアレだが、無茶苦茶のこと言ってるな、おい。

 これ信じたらすごいよなあ。


「そうなんですか…………。驚きましたけど、その性格のオウラ様も素敵です!!」


 わあ、どうしよう。信じちゃいましたよ。この子。

 なぜあの無茶苦茶を信じる!? これが、異世界クオリティなのか!?

 ま、まあ、信じたならいいか。


「素敵って……。まあ、いいか。後、この性格の事は他の人達には言うなよ?」

「はい!! わかりました! 二人の秘密ってわけですね!!」


 二人の秘密って……。はあ。

 なんとゆうか…………純粋なやつだなあ。まあ、黙ってくれるならいいか。


「そうだ。ぜったいにしゃべるなよ」

「はい! 大丈夫です! 僕、今日でオウラ様の従者から外れるので心配いりません!!」

「は? 外れるの?」

「はい。実は、僕の実家の方で父がそろそろいい歳なので帰って領地を継げ、と前々から言われてまして、オウラ様の体調が戻り次第帰ることになっていたので。

最後にオウラ様の秘密を教えてくださりありがとうございました」


 超いい笑顔で言いやがった。

 えー。異世界来て初めに会った人ってたいがい主要人物じゃねーの?

 驚いたけど、好都合かもしれない。オウラをよく知ってるカンナは正直、脅威以外の何物でもなかったからな。

 ん? じゃあ、

「お前の後任は誰か決まってるのか?」

「いいえ。まだです。決まるまでは他の使用人の方々が交代でオウラ様の世話をしてくださる予定です」


 ふーん。まあ、どうでもいいか。後任が誰になろうと俺の知ったことじゃないしな。


「そうか。今まで、ありがとうな」

「い、いえ、こちらこそありがとうございました。

オウラ様に仕えるなんて、とても名誉なことです! とても、とてもうれしかったです」

「そっか。元気にしてろよ」

「はい!!」




もし、カンナ好きな人がいたらすいませんでした。

カンナ退場です。

今後出てくるかなあ。その予定は今のところありません……。

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