2. ま・じ・で・す・か
サブタイトルが思いつきませんでした……。
適当です、はい。サブタイトル変えると思います……。
いつも短いので長めにしてみました。
ご意見をくださるとうれしいです。
PVが1000突破!!ありがとうございます!!
俺が、いや、周りから見たらオウラが目覚めてからの3日、俺の周りは半端なくせわしなかった。
まあ、そのおかげで、俺がオウラじゃないとばれることがなかったので助かったのだが。
そして、オウラの目覚めを周りに告げたあの少年は、オウラの従者でカンナという名だった。何故、彼のことが分かったかというと、目覚めて2日も経たないうちにこの世界の神、琳希が現れ、
「君は、今度からオウラになるというのに、オウラの記憶が無いと不便だろう。記憶をオウラの魂から抜き取っておいたからこれを君にやろう」
と言い、喋ることすら出来ないほど衰弱している俺の頭をガシッ、と掴んで、まあ、普通の人間ならたえきれず死ぬ情報量だが、ただの人間じゃない君なら大丈夫だろう、きっと。という無責任極まりない言葉を吐き、俺が、そんなアバウトな!と感じた瞬間にものすごい情報量が脳に流し込まれ、結局気絶する羽目になりながらもオウラの記憶を受け継いだためだ。
そして、衰弱している身体でろくに動くことの出来ない間、俺はオウラの記憶を探った。
記憶の中のオウラは、こんな奴俺じゃない!と叫びたくなるほど気弱な少年だった。身体が弱いせいもあったのだろうが、部屋に1日籠もっていつも本を読んでいた。
俺はオウラがあまりくわしくこの世界について知らないことに驚いた。琳希はオウラがこの国を継ぐと言っていたのでそれなりの教育を受けていると思っていたためだ。
しかし、それも彼の記憶を探っていくと理由が分かった。
この世界には魔術が存在しているらしい。そして、それを使用するとき、その使用者は背に翼が生える。魔力の強い者ほど大きく白い翼が、そして魔力が弱い者ほど黒くくすんだ小さな翼になる。この世界の者はどれだけ魔力が弱かろうと絶対に翼が生える。なぜなら、彼らの祖先は神に飼われていた鳥だと言われているからだ。だから、その祖先の名残として魔術を使用するさい、翼が現れる。・・・・・ちなみにこの翼、魔術を使用しないときでもだせて、翼の大きい者は飛べるたりもするらしい。
そして、オウラのいるこの国『コランシス帝国』は帝位継承の際、最も重要視されるのはこの翼だった。より白く、より大きい翼を持つ者に帝位継承権が与えられる。
しかし、オウラは魔術がつかえず翼を出せたことがなかった。
そのため、彼は魔力なしとして、帝位継承権がなかったのである。そして、彼は身体が弱く長時間の講義に耐えることが難しかったのも一因としてあった。
俺は彼の記憶を見て、帝位継承権がないなら、こいつが死んでも問題なかったんじゃ・・・・と、感じた。実際、オウラの記憶の中で彼には弟が2人いることが分かっていた。
結局、俺は声を出せるまでに回復したとき、琳希の名を呼んだ。ホントに名前呼んだだけで来たらすごいよなあ、と思いながら。
「琳希」
「どうかしたのかな」
「え、ホントに来た。暇なのか?」
思わず心の声が出てしまった。俺の枕元にいつの間にか琳希が現れていて、起き上がれない俺を上から見ていた。……何か腹立つ。
「君は神に敬意の欠片もないな。……暇ではないよ。これでも一応、神なのでね、忙しい身の上なのだよ」
「じゃあ、なんで現れた。…………てか、腹立つからすわれ」
君って奴は……、とかいいながらため息吐いて、神は目線がベットに寝てる俺と同じになりように、床に座った。こいつ、結構律儀だな。
「君が入れ替わって産まれてしまったのは、私達神の不手際で、君はあちらの世界でうまくやっていたのに、こちらの世界に連れてきてしまったのは完全にこちらの都合だからね。これくらいのサービスはするよ。」
「ふーん。じゃあ、琳希って大分サービス精神旺盛だな。この世界の言葉も分かるようにしてくれてるし」
読み書きはまだしたことがないから分からないが、この1週間で喋る分にはこの世界で不自由がないことに気付いた。枕元で医者がしゃべっていることが分かったからだ。
はじめは、日本語をしゃべっているのかとおもったが、そう思いながら聞くと全く違う言語が聞こえたから確実だ。
そしてその言語が俺にも使えるのかは確認済みだ。相手の言ってる事は分かるのに、自分はそれに返事が出来ないとかいう事態になったらシャレにならん。
だから、確認のためカンナに、水がほしい、って言ったら通じたんで一安心。読み書きもいつか、試さないと。
「あー……、言いにくいんだが、その言語理解は君が自分でやっているのだよ」
「は? どういう意味?」
「君はオウラの記憶で分かっていると思うが、オウラは魔力なしだと言われている」
「実際、そうだろ。魔力があれば生えてる翼がないらしいじゃないか。というか、この話と言語理解はなんの関係もないだろ」
「まあ、黙って聞きたまえ。多少、話は長くなるが……」
琳希の話では、実際にオウラに魔力はなかったらしい。
魔力は魂に付随するもので、あちらの世界、クシラじゃ魔力なんてものは、あってもどうせ使えないのでクシラに生まれるはずのオウラの魂に魔力がないのは当たり前、ということだそうだ。
ちなみに、こちらの世界でオウラの体が弱かったのは『魔力なし』のオウラの魂が周りの魔力にあてられたせいらしい。いわゆる、『魔力酔い』だと琳希は言っていた。
そんで、こっちの世界で生まれるはずで、しかも次期皇帝になるようになっていた俺の魂は半端ない魔力を持っているらしい。
どれくらい強い魔力か琳希に訊いたら「この世界で君に勝てる魔力量の人はいないよ」と、笑顔で言われた。(実際、俺が魔力全部を使って破壊の魔法を使ったら、この国のある地球とほぼ同じ大きさの星を一瞬で焦土に変えられるそうだ。)
ここからが俺がなんでこっちの言葉が理解できるのか、ってことに繋がるんだが、正直、そこの所の説明はかなりややこしくて半分も理解できなかった。
まあ要するに、その強すぎる魔力がほんの微量だけど、俺の身体の外に漏れ出ているらしい。
その魔力が、俺が無意識のうちに思った「この世界で言葉が通じないのは困る」と言う願望を読み取って勝手に魔法を行使しているんだと。
「魔法を使ってるときは普通、翼がでるんじゃなかったのか」って訊いたら、「持続する魔法は始めの魔法をかける時だけでるのだよ。まあ、君の場合、魔力が強すぎて軽く規格外だから、簡単な魔法は翼なしでもできるんだけどね」だそうだ。
夏休み中は週2回ペース目指します!!