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影踏みのルナ ~地下世界の猫族少女は、五歳で血の温かさを知る~  作者: 猫寿司
第3章:潜入・喪失編

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第5話:聖女の問いかけ

1.聖女の問いかけ


 地下牢に立ち込める、肉の焼ける悍ましい臭い。

 アガサはくすくすと笑いながら、ルナの顔を吊り上げていた鎖の手を緩めた。


「ねえ、ルナ。これ……貴方がつけてくださった『文字』について、何か言うことはありますか?」


 アガサはそう言うと、羽織っていた法衣の襟元をゆっくりと寛げた。

 露わになった左胸。そこには、かつて洞窟でルナが刻んだ『L』の傷跡が、生々しい赤黒い痣となって残っている。


 ルナは泣き叫ぶことも、震えることもしなかった。

 猿ぐつわ越しにアガサを射抜くその瞳は、底なしの闇のように深く、ただ一点、アガサの喉笛をいかにして食いちぎるかという純粋な殺意だけを宿していた。


「あら、ごめんなさい。お喋りがしたかったわね」


 アガサは愉しげに目を細めると、ルナの口を塞いでいた布を引きちぎるようにして外した。


2.屈飾の味


 猿ぐつわが外れた瞬間、ルナは溜まっていた唾液と共に、アガサの顔面へ向けて力一杯に唾を吐きかけた。


「……ぺっ。汚らわしいぬ、聖女様」


 白い顔に付着したルナの唾液。

 アガサは一瞬動きを止めたが、恍惚とした表情でその飛沫を指で拭い、自身の舌でゆっくりと舐め取った。


「ふふふ……最高のご褒美ですわ。……もっと、私を欲しくなるわ、貴方は」


「……次だぬ。次にお前の隙を見つけたら、その舌を根元から引き抜いてやるにゃ」


 ルナの声には震えも、恐れもなかった。ただ、事実を淡々と告げる死神のような響きがあった。

 アガサは一瞬、その殺気に気圧されそうになるが、それを振り払うように再び火盆から焼きごてを掴み出した。


「さあ、お遊びを続けましょう」


 アガサは背後を振り向き、磔にされたままのトバリの腹部へ、一切の躊躇なく熱鉄を押し当てた。


「ン、ンンンゥゥゥッ!!」


 トバリの全身が弓なりに反り、鎖が悲鳴を上げる。

 ルナは眉一つ動かさなかった。その瞳はトバリの苦悶を無視し、目の前で笑うアガサの急所を、解体すべき「肉」として冷徹に見定めている。


「殺しませんと言ったでしょう? 貴方は私の大切なおもちゃなんですもの。……でも、少しお行儀が悪いようですわね」


3.意識の断絶


 アガサは焼きごてを放り捨てると、無造作にルナの髪を掴み、その顔面を何度も何度も石畳に叩きつけた。


 ゴンッ、ゴンッ!


 鈍い音が響き、ルナの額から鮮血が流れる。

 それでもルナは声を上げない。涙の一滴すら見せない。

 ただ、叩きつけられるたびに、その黄金の瞳に宿る殺意の炎が、より鋭く、より冷たく研ぎ澄まされていく。


「……やすみなさい、ルナ。目が覚めたら、もっと素敵な景色を見せてあげますわ」


 アガサの執拗な暴行を受けながらも、ルナは最期までアガサの目を逸らさずに睨みつけ、そして意識を失った。


4.特等席の目覚めと、無慈悲な蹂躙


 どれほどの時間が経過したのか。

 冷たい水を浴びせられたような衝撃で、ルナは目を覚ました。


「……っ、……ふぅ、……」


 額から流れた血が固まり、視界を赤く染めている。

 自分の背中には硬い木の感触。両手首と両足首、さらに胴体を食い込むような重い鎖が締め付けている。

 ルナは、トバリがいたのと全く同じ処刑架に、自分もまた磔にされていた。


 正面には、重傷を負い磔にされたままのトバリが、「観客」として固定されている。

 アガサは狂気的な笑顔を浮かべながら、ルナの前に歩み寄る。


「まずは、その目障りな布を片付けましょうね」


 アガサはルナの身を包んでいた薄汚れたインナーを一気に引き裂いた。

 無防備に晒されたルナの白い肌。アガサはその胸を蹂躙し、指先で弄び始めた。


「……っ」


 ルナは唇を噛み、身体の反応を殺した。

 逃げ場のない磔台の上で、秘所を無残に暴かれ、もてあそばれる屈辱。

 静かな地下牢に、湿った「ピチャピチャ」という音が響き渡る。


「ふふふ……あら、こんなに汚れて。お友達に見られて、興奮しているのかしら?」


 アガサは自身の指に纏わりついた滴を、トバリの顔や傷口へと塗りたくった。

 ルナの瞳には、絶望の色はない。

 あるのは、ただ静かに燃え続ける、黒い**「殺意」**だけだった。


「……笑ってろにゃ。その汚れた指、喉元に届くまで……預けておいてやるぬ」


 感情を削ぎ落としたルナの呟きが、凍りついた空気を震わせた。

 だが、その不遜な態度がアガサの嗜虐心にさらなる火をつけた。


「いい度胸ですわ、ルナ。……では、その生意気な中身も、神の形をした『異物』で満たして差し上げましょう」


 アガサは傍らの道具箱から、男性のモノを象り、禍々しい装飾が施された巨大な張型を取り出した。

 

「……っ!?」


 ルナの瞳が、わずかに揺れる。

 アガサは容赦なく、その巨大な異物をルナの秘所へと押し当てた。


「ひ、あ、……ッ!!」


 準備も何もない肉体へ、質量という名の暴力が強引にねじ込まれる。

 裂けるような激痛がルナを襲い、磔台がガタガタと激しく音を立てる。

 ルナは奥歯が砕けるほどに噛み締め、声にならない呻きを喉の奥で押し殺した。


5.暴力の果ての闇


 アガサの顔から、笑顔が消えた。

 どれだけ陵辱しても、どれだけ痛めつけても、ルナの瞳から「屈服」の色が見えないからだ。

 その代わりにあるのは、氷のような温度の「殺意」。


「なぜ……! なぜ泣かない! なぜ許しを乞わないの!?」


 アガサは逆上し、自由な方の拳をルナの無防備な腹部へ叩き込んだ。


 ドゴォッ!


「ガハッ……!?」


 異物が奥底まで挿入された状態で、外側からの凄まじい衝撃。

 内臓が押し潰されるような激痛に、ルナの視界が白く爆ぜた。

 口の端から鮮血が溢れ、床を汚していく。


「壊れて、壊れてしまいなさいッ!!」


 アガサは狂ったように、磔にされたルナの顔面、胸、腹部へと何度も拳を叩きつけ続けた。

 鈍い肉打音が地下牢に連続して響き渡る。


 ルナの意識は急速に混濁していった。

 肋骨の数本が砕け、肺が圧迫される。

 揺れる視界の中で、狂気に満ちたアガサの顔だけを、ルナは最期まで冷たく見つめ続けていた。


(……待ってろ……にゃ……。その喉笛……必ず……)


 ルナの頭が力なく垂れ下がった。

 凄惨な暴力と、身体を内側から引き裂くような蹂躙の末、彼女の意識は深い、深い闇の底へと沈んでいった。


(第5章 完)

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