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転生先はパラレルワールドだった  作者: こぶたファクトリー


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8/62

調査 ①

 熱くも寒くもない。どちらかといえば居心地の良い涼しさだった。

 掘り抜かれた洞窟内を進みながら、大淵は背後を振り返った。自分の後には香山、斎城が続き、50メートル後方には黒島の率いるチームが続いていた。その背後には深々とした闇が続き、出入り口は見えようもない。

(400メートルは進んだだろうか?)

 倉田による半日の特別レッスンの後、十分な休養を取り、ゲート内調査当日を迎えた。ゲート入り口に立つと、スタンピードの発生が嘘のように静まり返っていた。

 ただ、あの陽炎めいた揺らめきだけが絶えずにその存在を保証していた。


『ぞっとしねー所だな。広い所はコドモドラゴンでも飛び出してきそうだし、狭い所で芋虫に囲まれたらと思うと落ち着かない』

 黒島が軽口とも泣き言ともつかない通信を送ってきた。黒島、斎城、川村はゲート内部への進入は初めてだった。見る限り、三人とも落ち着いた様子で非日常的な周囲の光景に注意を巡らせている。

「得意の口上手でやり過ごせばいいだろ。気に入られて魔界に連れて行かれるかもしれんが」

『そん時は、向こうの美人モンスター娘にお前の事を紹介しといてやるよ』

 頭部にリボンを結んだコドモドラゴンやスプリットワームが容易に想像できた。

『大淵よ、例の広場に出るぞ。気を抜くな』藤崎が注意を促した。

「ああ。そちらもな」


 見覚えのある広場が朧げに探照灯の光に照らされていく。照らし切れない広大な空間に巨大な横穴、スロープ…あの映像で見た髑髏野郎を嫌が応にも思い出す。

 当事者の一人である香山も同じ思いか、表情は硬い。

 映像の中でも十分巨大だと分かっていた空間だが、こうして自分の目で見ると改めて全てのスケールが巨大であることが分かった。

 ホールの広さは最低でも5ヘクタール以上はあるだろう。300メートル先を確実に照らせる投光器が照らし切れない空間。3、4メートル程度と思っていた横穴は6メートル以上ある。


 藤崎が巨体に抱えた投光器を一つ、ホールに設置した。投光器には電波中継機能も搭載されている。ゲートの中は常に通信状態が不安定で、中継器が無ければ通信は不可能だ。

 通信機から、オフィスで留守を守る星村の明瞭な声が聞こえてきた。

『ここまではマッピング済みですが、ここから先は未知の領域です。皆さん、アーマーのガントレット部分に内蔵されたコンソールを確認してください』

 言われた通り、左小手の内側を見た。薄い開閉式の端末が備わっており、それを開くと現在位置が立体マップとして表示されている。

『全員、ちゃんと機能しているか確認してください。 …大丈夫そうですね。この先を進むとそのエリアの地形がそのマップにフィードバックされます。各メンバーがどこに居るかも一目で分かりますから、活用してください』


 今は良いが、この無明の洞窟の中、万一はぐれたら助かるか怪しい。その時にはこのマップが唯一の命綱になるだろう。

「よし…進もう。俺達はスロープを降りてみる。そっちはまず、このフロアの全容を調べ終えたら連絡してくれ」

『了解』

 黒島たちと別れ、三人でスロープに入り込んだ。

(前回はここからあの髑髏野郎が…)

 銃剣を突き出し、恐る恐る進んでみるが、気配は無い。今もどこかの暗闇から自分達を狙い、潜んでいるのではないか…抑えきれない恐怖心から、そんな光景を想像せずにはいられなかった。


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