第六話:女子旅!〜カリオストロ号と秘境の滝へ〜
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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年05月11日 10:00 JST ID:moe_jimny
社員旅行2日目!
キャンプ場まで泥道!
ジムニーで走るぞー!
夜の焚き火、楽しみだなぁ。
#社員旅行 #キャンプ #ジムニー
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萌は、佐藤先輩のハチロクから、自分のジムニーに乗り換えた。
秘境キャンプ場へ向かう林道は、さらに険しい。
泥だらけの道。
田中経理のぼこぼこJB23ジムニーが、先行していく。
その後ろを、萌のジムニーが続く。
ぐいぐいと泥を蹴散らして進むジムニー。
ハンドルを握る手に、確かな感触が伝わる。
「やっぱり、ジムニーが一番!」
萌は心の中で呟いた。
泥だらけになりながら、キャンプ場に到着した。
キャンプ場は、既に社員たちが思い思いに過ごしていた。
社長の岩田は、自分のランクル70の横で、豪快に笑っている。
佐藤先輩は、ハチロクの横でアニソンを大音量で流している。
田中経理は、黙々と焚き火の準備をしている。
萌は、自分のテントを設営する。
慣れない作業だが、仲間たちの助けを借りながら、なんとか設営を終えた。
夜。
社員たちは、焚き火を囲んで語り合っていた。
炎の揺らめきが、皆の顔を照らす。
笑い声が、夜空に響く。
パチパチと薪がはぜる音。
森の匂いが、一層濃くなった。
その時、萌の携帯が鳴った。
表示されたのは、父親・巌の名前。
「またパパからだ…」
萌は小さくため息をつき、焚き火から少し離れた。
「萌!無事か!?
ジムニーは汚れてないだろうな!?」
過保護な父親の声。
萌は苦笑いしながら、適当に返事をする。
父親との電話を終え、萌が焚き火に戻ろうとした時。
ふと、視線が止まった。
キャンプ場の少し離れた場所。
星空を眺めている人影があった。
速水蓮だ。
彼は都会的なスーツではなく、アウトドアウェアに身を包んでいる。
萌は驚きを隠せない。
「速水さん…?」
萌はゆっくりと近づいた。
蓮は萌の存在に気づくと、振り返った。
彼の表情は、都会で見せるそれとは違う。
どこか、疲弊しているようにも見えた。
「桜木さん。こんな場所で会うとは」
蓮は静かに言った。
そして、都会でのコンサルタントとしての生活への迷い。
非日常や、自然への憧れを、ぽつりぽつりと萌に漏らし始めた。
萌は、蓮の意外な一面に触れ、彼への興味が深まった。
星の輝きが、二人の会話を包み込む。
夜が更け、ほとんどの社員がテントに入った頃。
萌はトイレに立つため、テントを出た。
ひんやりとした夜の空気。
その時、近くの茂みから、話し声が聞こえてきた。
佐藤先輩の声だ。
「…ゼロヨン区間、もう一度…」
聞き覚えのない声がそれに続く。
「フフ…無理だ。
お前のハチロクじゃ、あの区間は攻略できん」
茂みの奥を覗き込むと、そこにいたのは佐藤先輩と、
見慣れない男性。
『峠の工房 疾風』の店主、神崎涼介だった。
彼らの間には、ただならぬ雰囲気が漂っている。
「ゼロヨン…」
萌は佐藤先輩が社員旅行の峠道で呟いた言葉を思い出した。
男たちの熱い密談。
その熱量に、萌は圧倒された。
何かが、今、動き出そうとしている。
萌は、静かにその場を離れた。
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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年05月11日 22:00 JST ID:moe_jimny
キャンプの夜、星がすごく綺麗だった!
速水さんがまさかアウトドア好きとは。
そして、佐藤先輩と謎の人の密談を偶然聞いちゃった。
「ゼロヨン」って何だろう?
気になるー!
#社員旅行 #キャンプの夜 #謎の密談
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次回予告!
萌:「佐藤先輩!ゼロヨン区間って、あの密談と関係あるんですか!?」
佐藤:「チッ…萌ちゃん、聞いちゃったのか!それは、男たちのロマンだぜ!」
次回、第9話:ジムニー砂浜!〜ハチロク救出大作戦〜