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第四話:初任給で愛車に恩返し!~お兄さんのロードバイクと至上主義者の挑発~

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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年04月25日 09:00 JST ID:moe_jimny

ついに初任給!

ジムニーに何買ってあげようかな?

毎日頑張ってくれた相棒に感謝!

#初任給 #ジムニー愛 #ご褒美

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新卒の桜木萌。

初めての給料日だった。

スマホの明細アプリを開く。

そこに表示された数字に、萌は思わず目を輝かせた。

「これが…私の初任給!」

胸の奥から、じんわりと温かいものがこみ上げてくる。

頑張った証だ。


萌の視線は、会社の駐車場にあるジムニーに向かった。

連日、泥道を共に走り、時に父の愛車論争にも付き合ってくれた相棒。

「ジムニー、本当にありがとうね」

萌は心の中で呟いた。

この初任給で、何かジムニーに恩返しがしたい。

萌はそう決意した。


萌がジムニーに何をプレゼントするか考えていると、

背後から声がした。

「桜木さん、何かお悩みですか?」

振り返ると、そこにいたのは営業部エース、篠原健太だった。

いつものようにスマートな服装。

そして、ロードバイクが隣にある。


篠原は萌のジムニーを一瞥する。

「まさか、その文明の利器に投資を?」

皮肉な口調だ。

萌は少しムッとした。

「ジムニーは私の大切な相棒です!」

篠原はフッと笑った。

「車なんて、単なる移動手段でしょう。

本当に自分の力で道を切り拓くなら、ロードバイクですよ」

彼は熱く語り始める。

ロードバイクの魅力。

風を感じる一体感。

自分自身の力でどこまでも行ける自由。

篠原の言葉には、確かな情熱が宿っていた。


萌は篠原の言葉に、少しだけ心を揺さぶられた。

確かに、ロードバイクはシンプルだ。

自分の足で、自分の力で進む。

それは、萌が求めていた「自分の道」に通じるようにも思えた。

「でも…ジムニーも…」

萌は、自分の心の中で揺れる思いを感じる。

ジムニーは父から与えられたもの。

ロードバイクは、純粋な「自分の力」。


篠原は萌の迷いを見透かしたように言った。

「桜木さん。本当に大切なものは、

誰かから与えられるものじゃない。

自分で見つけるものです」

その言葉が、萌の胸にズシンと響いた。

それは、父・巌の言葉と重なる。

「お前がジムニーを乗りこなせば、

この地方のどこへでも行けるようになるぞ。

パパは、お前が自分の力で世界を切り拓くのを応援しているんだ!」

父の言葉と、篠原の言葉。

どちらも「自分の力」で世界を切り拓くことを促している。

だが、そのアプローチは全く違う。


萌は、篠原の言葉と、ジムニー、そして父の愛情を見つめ直した。

ジムニーは父が与えてくれたもの。

でも、そのジムニーで萌は、泥道を走り、

この地方の「面白さ」を知った。

そして、自分自身の足で、

新たな「道」を進み始めた。

それは、すでに「自分の力」で掴んだものだ。


萌は、ゆっくりと顔を上げた。

「篠原先輩。

ロードバイクも素晴らしいと思います。

でも、私にはジムニーがいます」

萌の瞳に、確かな光が宿る。

「ジムニーは、パパがくれた私の翼です。

この翼で、私は自分の道を見つけます」

それは、父への感謝と、自分自身の決意。

そして、篠原への精一杯の返答だった。


萌は初任給を手に、自動車用品店へ向かった。

高性能のカーナビ。

泥道でも滑りにくいタイヤ。

色々見て回るが、どれもピンとこない。

萌が本当にジムニーに「してあげたいこと」は何だろう?

ふと、店の隅に、小さな「ジムニー」のキーホルダーが目に入った。

それは、派手なカスタムをされた萌のジムニーによく似ていた。

萌はそれを手に取った。

これだ。

ジムニーに、これからも共に走り続ける「証」を。


萌はキーホルダーをジムニーの鍵に取り付けた。

小さな、だけど大切な「恩返し」。

このキーホルダーは、父の愛情と、

篠原の言葉、そして萌自身の決意。

全てを乗せて、明日からも走り続ける。

ジムニーと共に、萌だけの道へ。


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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年04月25日 17:00 JST ID:moe_jimny

初任給でジムニーにプレゼント!

キーホルダー、すごく喜んでくれた…気がする。

篠原先輩のロードバイク論、ちょっと考えさせられたけど。

やっぱり私の相棒はジムニーだね!

明日からもよろしく、ジムニー!

#初任給 #ジムニー愛 #私の道

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次回予告!

萌:「田中さん!このキーホルダーも経費で落とせますか!?」

田中:「フフ…桜木さん。それはあなたの愛ね。経費にはならないわ。」

次回、第5話:田中経理の冷たい視線!~経費の壁と愛の証~

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