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第二話:みちくさ経費と山猿先輩!~泥だらけの初仕事~

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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年04月02日 08:30 JST ID:moe_jimny

今日からいよいよ初仕事!

どこへ行くのかドキドキ。

パパのジムニー、今日も頼むぞー!

絶対、泥だらけにはならない…はず!

#初仕事 #ジムニー女子 #頑張るぞ

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新卒の桜木萌。

会社の玄関で、今日の初仕事のメンバーと合流した。

カーナビの電源を入れた瞬間、胸の奥で「ドクン」と鼓動が跳ねた。

初仕事。今日の一日が、未来を決める気がして。怖くもあった。


営業部エースの篠原健太。

スマートな外見だが、「自転車至上主義者」だ。

彼は萌のジムニーを一瞥する。

「ふん。文明の利器ですか。

自転車があればどこへでも行けるんですよ」

鼻で笑うように言う。


萌の直属の先輩、佐藤拓海もいた。

熱血漢で、愛車ハチロク命の「山猿」だ。

佐藤は萌のジムニーを指差す。

「萌ちゃん、お前のジムニーじゃ、

俺のハチロクには勝てねぇぞ!」

挑発的な言葉。

萌は内心、ムッとする。

しかし、その目はどこか面白そうだ。


最初の目的地は山奥の古民家カフェ。

地図アプリが示す道は、舗装されていない。

狭く、急な坂道が続く。

森の匂いが鼻腔をくすぐる。

鳥の声が耳に響く。

都会では感じられない空気だ。

萌は窓を開けた。

ひんやりとした風が頬を撫でる。


佐藤のハチロクが先に進む。

道は荒れ放題。

ハチロクは何度も底を擦りそうになる。

「うおっ!やべぇ!」

佐藤の声が聞こえる。

篠原のロードバイクも限界だ。

ペダルを漕ぐ足が重そうだ。

息が荒い。

「ハァ…ハァ…」

苦しそうな息遣いが聞こえてくる。


だが、萌のジムニーは違った。

まるで水を得た魚のように。

泥道をグイグイと駆け上がっていく。

ぬかるんだ道も、ゴツゴツした石畳も。

ジムニーは軽々と乗り越える。

ハンドルから伝わる振動。

シートに響くエンジンの唸り。

萌はジムニーの悪路走破性に心底感動した。

「トクン…トクン」

心臓が高鳴る。

この小さな相棒が、こんなにも頼りになるなんて。

都会の道だけが全てじゃない。

そう、初めて思った。


古民家カフェに到着。

店主との商談中。

萌はふと疑問を抱いた。

「この泥だらけの道を通るのに、

なぜ自転車やハチロクで来たんだろう?」

素直な疑問を口にする。


佐藤があっさり答える。

「社長の趣味だよ。

地域の特色を肌で感じろって」

それが「みちくさクリエイト」の。

ユニークな福利厚生「みちくさ経費」だと萌は知る。

「え、経費で泥だらけになるってことですか!?」

萌の目が丸くなる。

会社が、まさかこんなにも常識外れだとは。

でも、どこか笑える。


泥だらけになりながらも、萌はなんとか初仕事を終えた。

会社に戻ると、経理の田中恵子が待っていた。

クールな表情は変わらない。

「泥汚れ分の経費、ちゃんと申請しなさい。

証拠写真も忘れずに」

淡々とした声。

萌は、前日の言葉を思い出す。

「領収書、ちゃんと出してよね。泥汚れの分も」

田中が単なる経費の番人ではないことを感じ始めた。

ジムニーの泥を見た田中が、ほんの一瞬だけ笑った。

それは、「ようこそ、こちら側へ」というような、

誰にも気づかれない小さな合図のようだった。


オフィスで、萌は泥だらけになったジムニーの写真を撮った。

こんなにも汚れを誇らしく思ったのは初めてだ。

都会の友達が見たら、きっと驚くだろう。

でも、これが今の自分だ。

泥は、ただの汚れじゃない。

この土地で、私の“なにか”が始まった証だ。

だから今日の汚れは、誰にも譲らない。


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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2025年04月02日 17:30 JST ID:moe_jimny

初仕事、泥だらけになったけど、

ジムニーが本当に頼りになるってわかった!

先輩たちも個性的すぎ。

「みちくさ経費」って本当にすごいなぁ。

これが地方ではたらくってことなのかな?

#初仕事完了 #みちくさ経費 #地方の洗礼

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次回予告!

萌:「パパのジムニー、泥だらけになっちゃったよー!」

巌:「おお、萌!それは最高の勲章だ!だが油断するな、お前のジムニーはまだ進化の途中だぞ!」

次回、第3話:父の愛車論争!~謎のオフロードバイクと再会~

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