第十七話:ジムニーと蓮!〜二人きりの調査と夜の森で〜
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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2026年03月01日 09:00 JST ID:moe_jimny
速水さんと二人きりで調査!
ちょっと緊張するけど、頑張るぞ。
夜の森って、どんな感じなんだろ?
#地域活性化 #生物調査 #ドキドキ
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地域活性化プロジェクトの一環。
萌と速水蓮は、二人きりで夜の森の生物調査に出かけた。
ホタルや夜行性動物の生態調査だ。
日中は喧騒に包まれる街も、
夜になると、全く違う顔を見せる。
月の光が、山道を淡く照らす。
森の匂いが、一層濃くなった。
ジムニーでしか進めない奥地へ。
舗装されていない細い道。
時折、落ち葉がタイヤの下で音を立てる。
車内には、エンジンの唸りと、二人の呼吸だけが響く。
萌は、少し緊張していた。
蓮は、静かに助手席に座っている。
彼の横顔が、月明かりに照らされる。
奥地深くへと進むと、
目の前に、都会では味わえない自然の神秘が広がっていた。
無数のホタルが、幻想的な光を放ちながら舞っている。
「すごい…」
萌は、思わず息をのんだ。
蓮も、その光景に目を奪われているようだった。
彼の表情が、都会で見せるクールなそれとは違う。
どこか、純粋な驚きと、感動が滲んでいる。
生物調査は順調に進んでいた。
ホタルの光を記録し、夜行性動物の痕跡を探す。
その時だった。
ジムニーのタイヤが、ぬかるんだ土に深くめり込んだ。
「え…!?」
萌は、慌ててアクセルを踏むが、タイヤは空回りするだけだ。
トラブル。
夜の森の奥深くで、二人は立ち往生してしまった。
携帯電話も圏外だ。
「どうしよう…」
萌の胸に、不安が押し寄せる。
蓮は冷静だった。
「大丈夫です、桜木さん。
落ち着いて対処しましょう」
彼はジムニーから降り、周囲の状況を確認する。
萌もジムニーを降りた。
夜の森は、昼間とは全く違う表情を見せる。
暗闇と、静寂。
時折、遠くで動物の鳴き声が聞こえる。
ひんやりとした空気が肌を刺す。
夜が更け、二人はジムニーの中で一夜を過ごすことになった。
車内の狭い空間。
萌は、蓮の隣に座る。
都会でのコンサルタントとしての生活への迷い。
蓮は、ぽつりぽつりと話し始めた。
「東京での仕事は、常に数字と競争です。
私は、本当にこれで良いのかと、
自問自答する日々でした」
彼の声には、疲労と、どこか諦めのような響きがあった。
蓮の視線が、萌に向けられる。
「桜木さんのように、
純粋に地域を愛し、情熱を持って活動している姿を見て、
私は、自身の生き方について、深く考えさせられました」
萌の純粋な地域への情熱。
それが、都会での競争に疲れた蓮の心に、
静かに、しかし確実に、影響を与えている。
二人の距離が、急速に縮まっていく。
星空が、ジムニーの窓から見えた。
萌は、蓮の言葉に胸が熱くなった。
自分は、彼の心に触れることができた。
そして、彼もまた、自分の心を、
自分に開いてくれた。
都会のエリートである蓮の、
人間的な弱さ。
そして、自然を求める本心。
萌は、彼への理解を深めた。
それは、淡い恋心へと繋がる、確かな一歩だった。
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桜木 萌 @新卒ジムニー女子 2026年03月01日 17:00 JST ID:moe_jimny
速水さんと二人きりの調査、まさかの立ち往生!
でも、ホタルすごく綺麗だったし、
速水さんの意外な一面も見れて、ドキドキしたなぁ。
夜の森で語り合うなんて、ちょっとロマンチック?
#夜の森 #生物調査 #速水さん
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次回予告!
萌:「田中さん!会社の車両費、高すぎるって本当ですか!?」
田中:「フフ…桜木さん。それは、企業秘密よ。そして、経費は愛よ。」
次回、第18話:ジムニーと疑惑!〜経費の壁と田中経理の過去〜




