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亡国の皇女と若き帝  作者: 玉白美琴
黒刀の章
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黒刀【一】の[五]   

「今日は新月の夜よ、妖の私達は一年の内……半年に二回だけ妖の本能が抑えられなくなるのは勿論知ってるわね?だからその日だけは下女にも早寝が許されているの。人の目を盗んで勝手に外に出ては駄目よ?昔、調子に乗った下女が居てね、うっかり虎の妖になって居た武官に食い殺されたらしいのよ」


起きて直ぐ、先輩下女が後輩下女達を集めて話を聞かせた。


「ひい……喰い殺された……!?」


「嫌……怖い……!!」


下女達は顔を青ざめさせて怯えてしまう。


「それが嫌なら……夕刻の五時には戻って来る事。約束を守らなければどうなっても知らないからね」


「はーい」


「五時に戻りまーす」


すっかり怖がった下女達は先輩下女に返事をした。


……新月の夜……と言う事は……。


気付いた芽は染め粉で染色した黒髪を見詰め冷や汗を搔く。


「芽?どうかした?」


「いえ、何でもありません」


先輩下女に聞かれ芽は苦笑して誤魔化す。


「今日は宦官庁の各部屋掃除よ、五時までに終わらせて戻るんだからね?皆も気合い入れてね」


「「はーい」」


先輩下女に下女達は気合い入れて返事をした。


戦乱の後から続く上級役人の問題は下女にまで広がっており、家門に繋がる役職下女も当然来なくなり、残って居る下女だけで仕事を回している事から本来の仕事場ではない所も仕事として行く事が出来る。



妃宮を統べるのは後宮の最高職である宦官長。

帝の言葉を伝えたり、妃同士の諍いも仲裁する苦労人。



「やあ、今日は掃除に来てくれてありがとう」


芽達を出迎えたのは、爽やかな笑顔が似合う美形宦官だった。



白髪の長い髪を背に流し、宦官の黒い装束を着た美青年。


「私は宦官長を拝命している琉騎泉(るきせん)だ。身分さとか気にしていないので、気軽に分からないことがあれば何でも聞いて欲しい」


爽やかな笑顔に、何人もの下女が顔を赤らめて頷く。



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