式典【二】の[四]
「……当時の黒国は戦乱の時代でした。……上手くそれを利用したと言う訳ですか……」
「それでも、何もない地盤から成り上がるのは苦労しました。姫を無事に育てなければなりませんでしたし、とにかく形振り構わず手広く商売した結果が今になります」
水竜の言葉に、狼英は苦笑して答えると茶をまた一口飲む。
「……何故今になって私に素性をお話に?」
「水竜、貴方がうちの姫に目を付けたからですよ」
目を細めて怪しむ水竜に、狼英はニッコリ笑って答えた。
「……狼英様、貴方も御分かり頂けている筈です。戦後の混乱による人材不足で、後宮を始めとする宮中で手が回って居ません。あの日、一度だけでしかお会い出来ませんでしたが……姫には政に相応しい決断力と洞察力がありました。優秀な姫の才能を埋もれさせるよりは、きちんと見合った役職について頂き生かすべきです」
水竜は狼英を見つめ、自分の本心を打ち明ける。
「それは君の都合だろう?姫は本来、表舞台に立てない御身です。それを君ごときに目を付けられて、私達も誤算でしたよ。……だけど、それでも姫は君と会うと決めた。……ならば、私達も全力を尽くして姫を支えるまでの事」
狼英が笑みを浮かべると、指を鳴らした瞬間……
狼英の背後の襖が開き、騎泉と、他に二人の男達が入って来る。
「……貴方達は……!?」
驚いて水竜は目を見開く。




