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式典【二】の[二]
「……そうか……月一族が居ると言う事は……」
狼王が右後ろに下がると、後ろから来た男を見て水竜は渇いた笑みを浮かべる。
「黒英月皇子……、貴方も生きて居られたのですね」
掠れた声で水竜は言葉を口にした。
「えぇ、生憎しぶとかった者でしてね、今は月狼英と名乗って居ます」
狼英は笑みを浮かべて答えると、水竜を見下ろす。
「私の兄、騎泉が生きていたのもずっと不思議だったのです。……全て貴方の差し金でしたか……」
「さあて、何の事でしょうか?……まずは、我が商会にお入りください。大したもてなしは出来ませんがね……」
水竜と狼英の視線が交差するが、狼英ははぐらかすと背を向けて促す。
先に狼英を先頭に狼王も歩き出した。
「……水竜様、如何なさいますか?」
「……行くしか無いでしょう……」
琉家の者に聞かれ、水竜は答えると馬車から降りた。
月一族に見張られる中、水竜は商会の中に入ると、商談を行う応接室へと通される。
「……最も、皇帝に相応しいと謳われた貴方様が……何故生きていたのかお聞かせ願いませんか?」
水竜は狼英を見据えて問い掛けた。




