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式典【二】の[一]
琉家の馬車は、商人街の中でも一際大きい商会の前で停まった。
商会の使用人や、商人達は店を守るように馬車の周りを囲んでいる。
本来ならば、無礼なのでその場で無礼討ちしてもおかしくないのだが……。
……全員黒髪にメッシュが入ってます……そんな……この特徴を持つのは……あの一族しか有りません……。
水竜は冷や汗を流して戦慄する。
「……水竜様っ!!この者達の気配は……月の狼の者ですっ!!」
「そんなバカな……!!何故此処に月一族が!?」
「水竜様を御守りするんだ!!」
今すぐ喰らい付きそうな月一族に気圧され、琉家の三人は馬車を守ろうと盾になる。
「お前等、やめやがれ」
突然声が聞こえ、月一族達は二つに割れるようにして道を開く。
「こいつらは一応客人だ。獲物じゃねぇんだから喰うな」
二つに割れた道から出て来た男は、馬車の前で立ち止まると、腕を組んで水竜を見下ろす。
「月家当主月狼王……!!」
絞り出すように水竜は言葉にした。




