黒刀【一】の[四]
「あっーはっはっは!!あの馬鹿女!!マジで面白い!!あれだけ彩鬼兄上をストーカーしていた癖に……知らないとは言え本人に水を掛けて追い出すとは……ないない!!」
黒髪の下級妃が腹を抱えて笑い転げ回って居た。
「声質も、宦官になったとは言え、全く変わらないと言うのに……知識も教養も無いのかな?」
白髪の下級妃は肩を竦め、やれやれと溜め息を付く。
「見てくれにしか感心もないのでしょう。私が言う前から向こうは準備をしているようです」
湯浴みを終えたのか、布で髪を拭きながら彩華は苦笑する。
「何の準備?」
「恐らく香のですね」
黒髪の蓮妃に聞かれて彩華は頷いて答えた。
「禁止香か……大丈夫かな?あの四人……」
白髪の静妃が困った顔をして、蓮と彩華に視線を向けるが……。
「あの程度で殺られるなら……その程度だよ。あの女、こっちにも刺客送って来るだろうから……僕らも動かないとね」
「がしゃどくろの一族でしたっけ?的が大きいので刃溢れしないか心配です」
「たまには良い運動になるんじゃない?身体動かせるよ」
三人は笑い合うと、東屋から去って行くのだった。
桃里は知らない。目に映る物が全てだと甘やかされた彼女は、人の真理や知力、裏など見る力が大きく欠けていた。
手を伸ばして、あれ程まで欲していた者を知らず追い返していた故に、道化は勝手に転がって行くのだから……。




