式典【一】の[二十]
「さて……明日に備えるとしましょうか。姫を匿っていた商会です。一筋縄で行かないでしょうが……姫は政に必要な人材ですからね。……諦める訳には行きません」
改めて水竜は決意すると、床に付くのだった。
様々な思惑が入り乱れる中、一週間が遂に訪れる。
琉一族を数名引き連れ、水竜は馬車で向かう。
長い戦で貧しかった民の暮らしも、烈鋼や彩華による救済法で暮らしが保証された。
窓から水竜は通りを見ると、大通りは朝一で活気付いており民達は笑顔で市場を歩いて回って居た。
……私達が民の暮らしを良くするため、抑圧された独裁政治に異議を唱えて戦争を起こしました。
多くの命を失って、国を手に入れたのに残ったのは困窮した民の暮らしでした。
私達が起こした戦争は間違っていたのか……ずっと悔いていましたが……この様子を見ると大丈夫だった様ですね。
水竜は安心して微笑むと、窓を閉めるのだった。
琉家の一行は、大通りを真っ直ぐ進んでいく。
だが、水竜は気付いていなかった。
既に、月の狼達に見張られてテリトリーに入って居る事に。
「……水竜が向かったよ、もうすぐ着くね」
少年が目を細めて呟くと、他の者達も頷き姿を消した。




