式典【一】の[十九]
「……そうだね、狙いは姫だと思うし……長兄と月一族に任せようと思う。こっちが下手に出たら……頭を噛み砕かれそうで怖いからね。動向だけ見るに留めて置こうか」
少し考えた後、男は命じると肩を竦める。
「御意」
控える男は返事をすると一礼した。
「さーてさて、姫は今回どうするのかな?やー、楽しみだなぁ」
月を見上げ、男は愉しそうに笑みを浮かべるのだった。
屋敷に戻った水竜は、文官名簿に目を通していた。
「……あぁ、見付けました。この一族ですね……」
目的の人物と一族を見付けると、水竜は薄く笑みを浮かべる。
「……この一族は、以前からあまり良い噂を聞きませんね。可もなく不可も無いですが……下級文官の一族ですし……。噂では家門崩れの破落戸と繋がっているとか……。調べた方が良さそうですね」
顎に手を当てると、水竜は呼び鈴を鳴らした。
「御呼びですか?水竜様」
現れたのは美しい青年で、水竜の前に片膝をついて頭を下げる。
「梨愛、貴方に頼みがあります。ある一族がどうやら……ジャンキーの様で破落戸と繋がってる様なのです。貴方の美しさを利用して調べて欲しいです。出来れば……破落戸の者を生捕りにして下さい。……頼めますか?」
水竜は真っ直ぐ見据え、梨愛に命じた。
「お任せください」
梨愛は水竜に答えると、その場から姿を消した。




