式典【一】の[十八]
「……ありがとうございます」
微笑んで彩華は礼を言うと、小瓶を懐に入れる。
「他の兄弟何してんだろうねぇ?あぁ、一人は意外と近くに居るから分かったよ。烈鋼の住む皇宮を一人と、側近一族で守ったみたい」
思い出したように、蓮は壁に背を預けて口にした。
「ふふ、のらりくらりと周囲の武官に紛れているのなら……ちゃんと姿を見せれば良いですのにねぇ。あの子は……私達と元々同じ考えで行動していたのに……わざわざ対立する弟に近付いたのですよ。全て情報を私達に渡すためにね」
困った顔をして彩華も言うと、腕を組んで溜め息をつく。
「……バカ真面目な奴。一番烈鋼を甘やかしていたのもアイツじよなん」
気付いた蓮は、屋根の上を指差した。
そこには、二人の男達が佇んでいた。
だが、蓮の視線に気付くとその場から姿を消す。
「別に逃げなくても大丈夫だと言うのに……中々会えないのは残念ですねぇ」
「シャイなんじゃない?昔から人前出るの苦手だったし……」
残念そうな彩華に、蓮は呆れた顔をするのだった。
木々を飛び移りながら、男二人は下級妃から逃げていた。
「いやー、びっくりした。蓮兄上は目が良いね」
愉しそうに笑って男は立ち止まり、木の枝に腰掛ける。
「我が一族と言えど、末端の裏切り者が近々黒国へ来るようです。如何なさいますか?」
控える男が問い掛けた。




