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亡国の皇女と若き帝  作者: 玉白美琴
式典の章
55/63

式典【一】の[十六]

「……静妃の誘いか……。暫く行ってなかったしな」


書簡を見た烈鋼は苦笑すると、椅子から立ち上がった。


「直ぐに向かう」


「御意に」


烈鋼が命じると、忠宗が一礼する。


忠宗の先導で烈鋼が下級妃の宮に入ると、薄い衣のみ纏った静が長椅子に座って居た。


「やあ、急に呼び出して済まないね、茶でも出すよ」


呑気そうに言って静は目配せをすると、忠宗が茶を淹れる。


「……兄上が俺を呼び出す時は……必ず何か考えている時です。……何が狙いですか?」


隣に座ると、烈鋼は静に問い掛けた。


「……人聞き悪いなぁ……それが実兄に言う言葉かい?俺は悲しいよ……弟にそう言われるなんて……」


わざとらしく、静は烈鋼に泣き真似をして目を袖で覆う。


「それに……俺は未だに納得していません。兄上達を処刑した事にして、俺が玉座に着いた事もおかしいです」


「お前だって、処刑した兄弟、姉妹に霊薬を飲ませて生き返らせたじゃないか」


烈鋼が言うと、おかしそうに笑って静も問い掛ける。


「それは……」


言い返せず、烈鋼は口ごもってしまう。


「そんなに甘い考えの弟は……お前しか居ない。優しさは身を滅ぼすと言うけれど、俺達はお前に賭けてみたんだよ」


茶を飲むと、静は涼しい顔をして言った。



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