式典【一】の[十六]
「……静妃の誘いか……。暫く行ってなかったしな」
書簡を見た烈鋼は苦笑すると、椅子から立ち上がった。
「直ぐに向かう」
「御意に」
烈鋼が命じると、忠宗が一礼する。
忠宗の先導で烈鋼が下級妃の宮に入ると、薄い衣のみ纏った静が長椅子に座って居た。
「やあ、急に呼び出して済まないね、茶でも出すよ」
呑気そうに言って静は目配せをすると、忠宗が茶を淹れる。
「……兄上が俺を呼び出す時は……必ず何か考えている時です。……何が狙いですか?」
隣に座ると、烈鋼は静に問い掛けた。
「……人聞き悪いなぁ……それが実兄に言う言葉かい?俺は悲しいよ……弟にそう言われるなんて……」
わざとらしく、静は烈鋼に泣き真似をして目を袖で覆う。
「それに……俺は未だに納得していません。兄上達を処刑した事にして、俺が玉座に着いた事もおかしいです」
「お前だって、処刑した兄弟、姉妹に霊薬を飲ませて生き返らせたじゃないか」
烈鋼が言うと、おかしそうに笑って静も問い掛ける。
「それは……」
言い返せず、烈鋼は口ごもってしまう。
「そんなに甘い考えの弟は……お前しか居ない。優しさは身を滅ぼすと言うけれど、俺達はお前に賭けてみたんだよ」
茶を飲むと、静は涼しい顔をして言った。




