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式典【一】の[十五]
「これが単なる偶然にしたら……些か出来過ぎですよね?」
「……そうだね、全て繋がっていると考えた方が良さそうだ」
彩華が言うと、静も頷いて目を細める。
「……水竜とは別に、探りを入れようかと思います。出来れば……姫と接触したいですね」
愉しそうに笑って彩華は言うと、椅子から立ち上がった。
「じゃあ僕は覚醒潭の研究を続けとくね。効果が強過ぎると危ないし、濃度を薄めれば行けそうなんだ」
片手を上げると、蓮はニッコリ笑って答える。
「俺は弟の相手でもしようかな?動きを気付かれても厄介だしね」
苦笑して静は言うと、側近を呼んで先触れを出すのだった。
皇宮、皇帝の執務室では……烈鋼が一人で書類を処理していた。
「……文官、武官の不在は深刻だな。……家柄問わず、実力と能力に応じた試験を導入するべきか」
困った烈鋼は首を軽く振ると、一人で呟いた。
「……帝、執務中失礼致します」
「良い、入れ」
断りをいれてから一人の宦官が中へと入って来た。
白髪の長い髪を背に流し、穏やかな顔立ちの青年は一礼すると書簡を差し出す。
犬中宗。犬家の当主で、下級妃静妃に仕える側近宦官。




