黒刀【一】の[三]
「中級妃桃里が何か企んでいるみたいだね」
ここは下級妃達が茶会を行う東屋。
三人の中級妃達が愉しそうに話をしていた。
「宦官を人質に取った癖に……今度は御渡り無いからって騒いで……馬鹿みたい」
「あの女は昔から私に執着していましたね」
三人は互いに意見や愚痴を溢すと、一気に紅茶を飲み干した。
「僕達の臣下も、格家で宦官しているから……下手に動けないし……命まで狙われたら帝がヤバい」
「人手不足に護衛不足……」
「格家さえ何とか出来れば……」
「……全て片付くのですよね?」
二人が悩んでると、もう一人が笑みを浮かべ聞く。
「……何かやる気?」
「……でも、大丈夫かい?あの子達は……」
「あの四人にも良い薬になるかと思います」
二人は止めようとするが……一人は頭にヴェールを被ると笑みを浮かべ、東屋から去っていくのだった。
「桃里様、下級妃彩華様が御目通りを願って居ますが……どうなさいますか?」
「下級妃ごときが、先触れも無く我が宮に来るとは何て無礼な!!」
侍女長から聞いて、桃里は大激怒すると扇を握り締める。
「水でも撒いて追い出せ!!」
怒りのまま桃里は侍女に命じた。
「……」
玄関の前で待っていた所、彩華は頭から水を掛けられて目を丸くした。
「貴様のような下級妃など御呼びでない!!早々に去れ!!」
終いには侍女長に言われる始末……。
「……はは、それは仕方ありませんね。……では戻る事にします」
水に濡れた彩華は、笑みを浮かべるとその場から去る。