式典【一】の[五]
「……その……男が助けを姫に求めるだなんて……」
「あっはっはっ!!そこまで不様なんでしょうねぇ」
困って言葉を濁す青年に、商人は笑って切り捨てた。
「今回の活躍に姫は無能軍師に目を付けられています。姫はもう隠し通せないと自ら判断して公に出られる気ですが……私としては万全ではない王宮に姫を行かせたくは有りません。……そこで閃一族の貴殿方に姫の護衛について貰いたくて足を運んだのですよ」
男はにこやかに笑って青年に切り出した。
「話は分かりました、ですが……我等は宦官です。宦官は周囲の目も厳しくなりますし、姫への風当たりや立場も、私達宦官が側に居るだけで要らぬ言葉を掛けられる事もありましょう。それでも我が一族を望まれるのですか?」
「うちの姫は真っ直ぐに育ってます。どんな言葉や風当たりを受けても、本人だって気にしないでしょうし……姫の生存が神世の国に知られれば……海を渡って暗殺者も来るでしょう。確かな実力と忠義を持つ貴殿方にしか姫を任せることが出来ないと思って居ます」
青年の言葉に対し、男は真剣な表情で告げる。
「……分かりました、貴方様がそこまで仰有られるのなら……この閃一族、身命をとして姫君にお仕えすると御約束致しましょう」
目を閉じて、再び目を見開くと、青年は覚悟を決めて答えた。
「ありがとうございます、閃一族が守って頂けるのならこれ以上心強い事は有りませんよ」
青年と男は握手を交わすと、血判書もそれぞれ書いて交換するのだった。




