式典【一】の[三]
都より西、西州を治めしかつての一族は、今代の帝の味方をして闘ったが、激戦の末敗れ一族は滅び、生き残りも絶望的だと言われていた。
西州は海沿いの地で、古くから漁業や交易も栄んであり、今は琉一族が代わってこの地を治めている。
「主、文だとこの辺りなのよね」
領都海王の大通りを抜けた先、夜の街と呼ばれし花の妓楼街。
一人の下女と思しき人物と、身形が良い男が連れたって歩いている。
文を片手に下女が足を止めた先は、一軒の妓楼だったが……周囲の妓楼と違うのは、元奴隷の宦官が男娼となり、自らの身を売る妓楼だと言うこと。
「それでは入りましょうか」
「はい、では……」
男に言われた下女は頷くと、ドアを開けて中に入る。
「客か?今は昼だからまだ開店準備中だって……!!」
奥から青年が慌て走って来るが……。
「……っ!?│翼揚兄上と……貴方様は!?」
下女の顔を見て目を見開き、更に男を見て息を呑む。
「今は……しがない商会の商会主ですよ」
男は名乗ると下女に視線を向けた。
「大事な話があるんだ、悪いが……他の皆を集めてくれないかい?」
「……分かった、直ぐに集めてくる」
下女に言われ、青年は慌て奥に戻って行った。




