式典【一】の[一]
初夏の暑さが、いよいよ身に感じて来た頃。
王宮の執務室に水竜の姿があった。
……まさか、月商会本店を尋ねてあの方が居るとは思いもしませんでした。
近々行われる式典の段取りを確認しつつ、水竜は溜め息を付いた。
……そう、あれは格親子を捕らえて直ぐの……二日経ってから……。
下女名簿を確認すると、芽と光香の二人が既に辞めていると知り、水竜は少ない臣下……時には下級妃三人の臣下も借りて調べると、黒国でも有名な大商会月商会本店に身を寄せている事が分かった。
芽の出自を改めて見ると、月商会商会主、月狼英の養女として引き取られていた事が分かる。
……姫の素性を隠すなら持って来いの権力と財力ですね……。
光宛と言う男は……冷波と互角か、それ以上の者達でした。
……月狼英……彼は一体何者でしょうか?
疑問を感じながらも、水竜は月商会宛に書状を送る事にした。
内容は一週間後に訪れる旨を知るし、その返書は……。
「主からの返書を確認して欲しい」
翌日の晩に光宛がは水竜の屋敷に現れ持ってきた。
「……王宮の文官街は、武官街と同じく人員を当てて警備を厳しくしている筈ですが……?」
布団から飛び起きた水竜は思わずびっくりして疑問を口にした。
「仮にも姫を玉座に戴きたいと考えているなら……今のままでは生温い。尊き御身を守りきれないぞ」
冷たく目を細めて光宛は言い放つと、水竜から顔を背ける。




