黒刀【五】の[六]
一方、南にある下級妃宮も、がしゃどくろに襲撃を受けていたのだが……。
『ば……馬鹿な……!!何故……貴方々が……下級妃に扮しておられるのですか!?半年前に処刑されたはずです!!』
侍女長だったがしゃどくろは、壁に背を向けて叫ぶが……。
「事実には裏がある……それさえも忘れてしまったようですね」
笑って彩華は薙刀を振りかざす。
『そんな……桃里様は……自ら……慕われていた方に……無礼を……私はなんて事を……申し訳ありません』
それが侍女長の最期の言葉となり、薙刀で首を落とされた首が人間の生首となって床に転がった。
「こっち片付いたよ!!」
「こっちも終わったよ」
双剣を持った蓮と、大太刀を担いだ静も彩華に駆け寄る。
「それではお片付けしましょうか」
笑って彩華が言うと、死体に妖力を使って火を付ける。
静も蓮も死体に火をつけ始めた。
「……加勢に行かなくて大丈夫?」
心配なのか、蓮は二人に聞いてくる。
「その必要はないと思いますよ。大きな妖力を二つ感じますし、私達が行かなくても大丈夫そうです」
涼しい顔をして彩華は答えた。
「何者だろうね?」
静は笑って首を傾ける。
「そのうち、時が来たら分かりますよ、きっとね……」
笑った彩華はかつての思い出を浮かべる。
神世の国で、行方不明だった長兄を見付けた時、長兄が恭しく世話をしていた幼き姫の事を。
『綺麗なお兄さん達ね、狼英の兄弟かしら?良く似ているわ』
幼くして聡明な姫の笑顔を。




