黒刀【三】の[五]
「ふむふむ、宦官なんか捨て置くべきだったのに……自ら進んで行った訳ね?」
腕を組んで芽は烈鋼に言い放つ。
「捨て置くなんて出来る訳ないだろう!!臣下や民は国の宝だ!!見殺しにするほど俺は腐ってない!!」
芽に言われて烈鋼は逆ギレすると、声を上げて叫ぶ。
「……それでどうなった訳?」
敢えて無視をして芽は聞き返した。
「弱体化の香を焚かれて居て仲間に逃がされた」
下に俯いて烈鋼は悔しそうに答える。
「……情けないわね、自分だけ生き残ろうとするなんて……私が言いたいのはただ一つ、貴方もその場に残って闘うべきだったって事よ」
心を鬼にして芽は烈鋼に言い放つと背を向ける。
「……分かってる……だが、俺が死ねば黒国が乗っ取られてしまう。だからあの時は逃げるしかなかったんだ。今の俺にはまともに闘う力が残ってない。……恥を忍んでお前達に頼む。仲間を助けてほしい!!もう失いたくないんだ!!」
烈鋼は恥も、外聞も捨て去ると、二人に土下座をして頼み込む。
「…………」
芽はそれを聞いてハッとして目を見開く。
「……勝手なことを。貴様らの問題だろう?姫をこれ以上巻き込むな!!」
烈鋼の都合の良すぎる頼みに、思わず光宛が激怒する。
「……貴方は帝につくづく向いてないわ、国を背負う者は冷酷さと覚悟が必要だもの」
芽は烈鋼に振り返ると歩み寄って行く。




