黒刀【二】の[一]
「何?桃里が茶会を開くから俺に来いだと?」
桃里の遣わした宦官から聞いて、執務室で書類に目を通していた烈鋼は思わず顔をしかめ聞き返す。
「妃風情が……天上人を呼び付けるとは……身の程知らずも甚だしいですよ」
思わず水竜も怒りを露にする。
「……桃里妃が仰有って居ました、もし帝が来なければ……白桃宮に仕える宦官を一人ずつ痛め付けると……」
青ざめた顔をして宦官が報告すると頭を下げる。
「……宦官を人質かよ……」
「気に入らないねぇ……」
煌牙と冷波も、顔を見合わせて眉を潜める。
「……ちっ、だったら行ってやるよ」
舌打ちして烈鋼は答えた。
先の皇族同士の内乱で、桃里の生家である格家は、帝に味方した家を次々と滅ぼして年若く、美しい少年や青年達を宦官にさせ人質にしたのだ。
今代の帝が玉座に着いた時、宦官の命を盾にして格家は臣下に降って置きながら、職務放棄など勝手が通じていたのだった。
「帝が来られるなら私達も……」
「……罠なら皆で飛び込もうよ」
「四人入れば何とかなるだろう」
水竜、冷波、煌牙が安心させるように笑って烈鋼に言う。
「……お前等……」
三人の優しさに、烈鋼は怒って良いのか、笑っていいのか分からなくなって苦笑する。
そして四人は、桃里妃が待つ白桃宮に向かうことになった。
「眠れないの?」
「え?」
天井を見詰めていた芽は、隣で眠ってる筈の光香に聞かれ目を丸くする。
「起きてたの?」
「うん、やっぱり時間早くて眠れなくてね」
芽が聞くと、光香も苦笑して答える。




