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序章【一】
此処はとある大国。
長らく皇族同士の戦乱が続いたせいか、国力も衰え、国の民も貧しい生活を送って居た。
実の兄や弟、姉、妹を殺して玉座に付いたのは、十九歳と若い君主だ。
八人居た妃の中でも、最も力が弱いとされる妃を母に持つ今代の帝は、知勇に優れており、今も寝る間を惜しんで改革に勤しんでいる様だが……中々上手く行かないらしい。
今臣下として仕えている大臣達は、元を正せば誅殺した兄弟、姉妹について居た者達だ。
自ら担いだ主を殺されて、おいそれと仕える訳がない。
どの部署も、古参の臣下達は勿論、上級役人も居ないので、若い役人だけで回しているそうだが……果たして何処まで持つのやら……。
わたし?私は一介の下級下女に過ぎませんよ。
これは、火の車な大国の物語。