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空中に浮かぶ男?

ーー「ッハァ、ッハァ、ッハァ」

 やっと家が見えてきた。って、俺の家も燃えてるじゃねえか! 母さんと父さんは避難できたのか?

 焦りながらもやっと家の前に辿り着き、家の様子を改めて確認する。

 燃えてるのは二階だけ? でも窓ガラスがところどころ割れているし、玄関のドアも壊れている。

「母さん! 父さん! いるのか⁉︎ まだいたら返事してくれ!」

 そう叫びながら壊れた玄関ドアから家の中に入ると、血まみれになった母さんと父さんがリビングで倒れていた。

「! 二人とも大丈夫か⁉︎ しっかりしろ!」

 しかし、声をかけても返事はない。だが、かろうじて呼吸はしていそうだ。しかし傷は深い。目を背けたくなるほどに出血が多いのがわかる。

「くそっ! あの怪物どもにやられたのか⁉」

 俺は愕然としながらも、無我夢中で二人を外に運び出した。

「まだ助かるよな? 息してるし! そうだ、救急車っ」

 俺はスマホで百十九番通報しようとした。

 しかし、呼び出し音が鳴り続けるだけで一向に繋がらない。

「嘘だろ⁉︎」

 消防署も病院も警察も壊滅したって言わないよな?

 どうしたらいいかわからず、途方に暮れた俺は何気なく空を見上げた。

「え、人間?」

 人が空中に浮いているように見え、思わず目を擦る。

 しかし、目を擦ってもあいかわらず人が浮いている。しかも、その人間の周りの黒い魔法陣のようなものからどんどん怪物たちが出てくる。

「もしかして、アイツが元凶なのか⁉︎」

 理解し難い光景を目の当たりにしながら、空中に浮いている人間をもう一度確認した。

 ん? なんだこの違和感。

「……!」

 人間を観察していた俺は、違和感の正体に気づいたことで、得体の知れない恐怖がわいてくる。同時に冷や汗が流れてきた。

 俺と同じ顔⁉︎ どういうことだ? 実は俺に双子の兄弟がいたとか? ……いやいや、おれはれっきとした一人っ子だし、万が一俺に知らない兄弟がいたとしても、空中に浮いている時点で色々とおかしいだろ!


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