表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/16

楽に稼ぎたかっただけなのに

二〇二三年三月十七日午前四時

ーーあれ?なんか暑いな。

 最高の気分のまま、公園のベンチで寝てしまっていた俺は、まるで真夏のような暑さを感じ、うっすらと目を開けた。

「!!! はあ⁉︎ 火事⁉︎」

 至る所で燃え盛る炎。至る所で鳴り響くサイレンの音。立ち上る真っ黒な煙に言葉を失う俺。

 何が起きてんだよ⁉︎ これも夢なのか? 

 俺はとにかく混乱し、呆然とするしかなかった。

 一体どうなってんだよ? 寝てる間に大地震でも起きたのか?

 混乱しながらも青ざめて酔いが醒めた俺は、とにかく急いで家まで走る。

 道端にはたくさんの人が倒れていて、まるで地獄絵図のようだ。

「おい、そこのあんた、一体何があったんだ?」

 泣き叫ぶ子どもをあやしている爺さんに俺は話しかけた。

「何がって、あんた見てないのかい? いきなり怪物が現れて……っひい!」

「怪物?」

 俺の顔を見て急に顔面蒼白になる爺さん。

「あ、あ、あんたがやったんじゃないか!」

「はあ⁉︎」

 何言ってんだこの爺さん? ボケてんのか?

「どうかお願いだ、わしや孫のことは見逃してくれ! お願いだ!」

 爺さんは泣きながら土下座し、頭を下げ必死に俺に懇願してきた。

「何わけのわかんないことをっ」

「うわあ! アイツだ! アイツが犯人だ! 逃げろ!」

 俺と爺さんのやりとりを見て、別の男が俺に向かって指を差し大声で叫び、周囲の人々も逃げ惑い始めた。

「は? まじで何がどうなってんだよ⁉︎」

 俺はキャバクラ行ったあと、公園で寝落ちしてただけだぞ⁉︎

「キャー!」

 その時、女性の悲鳴が聞こえ、反射的に悲鳴がした方に目を向けると、漫画やゲームの世界に出てくるような、ゴブリンのような怪物が女の人に襲いかかっていた。

「は?」

 ここは日本だよな? 現実なんだよな? なんで俺が犯人扱いされてる? 周りの怪物はなんなんだ? あの女の人はどうなるんだ? 死ぬのか?

「ぜんっぜん理解できねえ!」

 考えても考えても正解が見つからない。そのうち女の人を襲っていた怪物と目が合った。

「っくそ!」

 今度は俺が殺される! 今は逃げるしかねえ! とりあえず家に帰って母さんと父さんと合流だ!

 それから俺はとにかく怪物たちや倒れている人々を避けながらがむしゃらに走った。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ