ゴブリンを倒したぜ!
そのまま俺は体が動くまま、ナイフを持つゴブリンに対し素手で対抗した。
「でりゃあ!」
その内、蹴りがヒットし、ゴブリンの手からナイフが滑り落ちた。
焦ったゴブリンは、咄嗟にナイフを拾おうと意識をナイフに向ける。
今がチャンスだ!
「お前っ、調子に乗ってんじゃねえぞ!」
ナイフは拾わせねえ!
俺はゴブリンを押し倒し、馬乗りになってがむしゃらに顔面を殴り続ける。
俺のここまでの反撃を予想していなかったのだろう。ゴブリンは最初のうちは俺の下から抜け出そうとしたり、俺のパンチを受け止めようとしたり、とにかくもがいていた。
だが俺はそんなゴブリンの反撃をもろともせず、パンチを繰り出し続けた。
ーー「ハァ、ハァ、ようやく大人しくなったか」
ゴブリンの抵抗が止んだところで、俺も殴るのをやめた。
「……ってか、息してなくね?」
ゴブリンはいつのまにか息絶えているようだった。
「……ハハッ! まじか。……やった! やったぞ俺! みたか!」
俺はゴブリンが手にしていたナイフを拾い上げる。
「こんな俺でも倒せた! 俺なんかでもできることがあるんだ! 思い知ったか怪物! ニートなめんじゃねーぞ!」
たち成感しかない。今までこんな気持ちになったことなんてあったか? ってか、そもそも生きていても仕方ないと思っていたはずの俺が、死の間際で生にしがみつくとは思わなかった。
……人間、本気になればなんでもできるということを、この時俺は初めて体感した。