俺ってただのニートだよ?
本当にコイツなんなんだよ。
「あーもうめんどくせえな。いいか、てめえの敵は悪魔。魔神アスタロスだ! てめえのせいでアスタロスが現代に干渉してきちまったんだよ! とにかくてめえでやったことの尻拭いとして、しっかりアスタロスを封印してこい。そしてこれは魔神対策用に作られたタイムトラベルブーツだから安心しろ。とにかくやり遂げるんだ。ただし、魔神が現代にいる状態で封印しないと意味ねえからな!」
「は⁉︎ ますますわけわかんねえよ!?」
「だから、ごちゃごちゃ言ってる時間はねえんだ。とにかくこのブーツを今すぐ履け!」
男はそう言うと、俺の足を掴んで無理やり怪しげでダサい緑色のタイムトラベルブーツを履かせてくる。
「っおい! なにすんだよっ! やめろよ! 触んなっ!」
俺は精一杯男を引き剥がそうとするが、抵抗もむなしく超ダサいロングブーツを履かされてしまった。
「どう見てもダサすぎんだろ! こんなの履いてらんねえよ!」
俺はこのダサすぎるロングブーツを脱ごうとする。
「うるせえ! ってかせっかく履かせたのに脱ごうとすんな! そもそもダサいとかダサくないとかそんなことを気にしてる場合じゃねえんだよ! ほら、手え出せ! 早く!」
男はそう言うと今度は俺の手を無理やり引っ張り、掌に黒光りする石を握らせた。
「なんだよこの石?」
「予備もポケットに入れとくからな。魔石は消耗品だ。万が一の時にだけ使え」
「は? ちょっと勝手に入れんなよっ……!!!」
その瞬間眩い光に包まれたと思ったら、目の前の男が消えた。
俺は目の前の光景に固唾を飲むしかなかった。
今まで言い合いをしていた男が突然目の前から消えたからだ。
いや、アイツが消えたと言うより、もしかしたら俺があの場から消えたと言う方が正しいのかもしれない。
なぜなら、俺は今赤い空と茶色い大地だけが広がる空間にいるからだ。
あのわけのわからない真っ黒な渦に飲み込まれて、言われるがままコスプレバイトをした時の場所と同じように見える。
「……ここは一体どこなんだ? ……アイツ、タイムトラベルがどうとかいってたけど、本当に俺はタイムトラベルしたのか? ってことは、ここは過去? じゃあ俺はこの前のコスプレバイトの時も過去に来ていたってことなのかよ?」