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(二)-14
夫とはまだ関係が壊れたわけではない。生活を共有する夫が非協力的なだけなのだ。だから、彩香は部長の提案については忘れることにした。将来的にその提案にのることはあるかもしれないが、現時点ではまだ必要のない提案だと思った。そう信じたかった。
帰宅すると、麦酒の缶を手にした夫がソファに座ってバラエティ番組を見ながら下着姿で笑い転げていた。ソファの前のローテーブルの上でも空いた二本の銀缶が、口に泡を付けて転げており、その周囲の床の上には踊り狂う姿のままの、脱ぎ散らかされた服がいた。
(続く)