表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
574/613

第574話 勇者一行ジャンボジェット機で飛ぶ

 ゾンビを片付けた軍艦の中で、皆が一息つき始めた。食料を確認したところ、切り詰めれば一ヵ月以上持つとの結論が出る。そうして、皆の生存領域を確保した俺達は、いよいよアメリカ大統領の居場所を見つける作戦を始めた。


「まずは、どこかで航空機を確保したいが」


 クキが言うとオリバーの父親が言う。


「ジョン・F・ケネディ空港に、我が家のプライベートジェットがある」


「いいね。で、パイロットは?」


「残念ながら、連絡がとれん」


「なるほど」


 地図を広げて、説明をし始めるが、空港はそう遠くはなかった。ただし、飛行機が無事でも、ジェット機を操縦できる人がいないと飛べないという。


「いずれにせよ、船でいけるところにある。ゾンビに接触しないで済むのでは?」


「父さん。空港は恐らくゾンビだらけだ。ここまでの、状況からして救助者の中に感染者がまざり、それが拡大を広げている」


「なるほどのう」


 そこで俺が断言した。


「俺達が全てのゾンビを狩る」


「それが出来るのだからな。凄いものじゃよ……」


 そしてシャーリーンが手を上げた。


「旅客機でしたら、私が飛ばせます」


「おお!」


「あとは、飛行機が無事かどうかですわ」


「保管庫にあるとは思うが」


「では、まいりましょう」


 そして俺達はそのまま、出発の準備をし始めた。そこでオリバーが言う。


「食料は持っていくのか?」


「いや。水と少しかじる物があればいい」


「だが、ミスター九鬼。食べ物が、手に入らなくなっているのでは?」


「いやいや。恐らくは取り放題ですよ。オリバーさん」


「拾うってことか?」


「そう」


 そしてミオがルーサーの息子に言う。


「ごめんね。これから、ゾンビの群れと戦うのよ。あなたはここに残った方がいいわ」


「嫌だ。僕も行く!」


「あなたを守りながらでは……」


 そこで俺が言った。


「俺からすれば、同じことだミオ。連れて行こう」


「わかったわ」


 オリバーとオリバーの父親、エイブラハムもいる。一人増えたところで、何も問題にはならない。


「じゃあゴムボートを準備しよう」


「「「「了解」」」」


 クキの掛け声に、全員が息を合わせて動き出す。それを見た、オリバーの父親が言う。


「まるで、特殊部隊だな」


 それに俺が答えた。


「世界中の戦地で、必死に生き残ってきたんだ。仲間達はもう、強い」


「そのようじゃ」


 ゴムボートが二艘降ろされ、俺達は二つに分かれて乗り込んだ。市民達が手を振り、俺達はすぐにジョン・F・ケネディ空港に向かう。海には時おりボートなどが浮かんでいるが、どうやら逃げてきた人達らしい。陸地の方では煙が立ち込めており、あちこちで火災が起きているようだった。俺達のゴムボートは湾内に入り込んでいく。


 オリバーの父親が言った。


「川をたどれば、街を通らずに空港に行ける」


「了解」


 オリバー達のボートを先に進ませ、クキが操作するボートがついて行く。俺達のボートが川に辿り着くと、モーター音を聞きつけた人々がこちらに向かって叫んだ。


「助けてくれと言っている」


 だがクキは首を振った。


「一人一人、助けていては滅亡する」


「その通りだ。ならば、見える範囲のゾンビだけでも仕留める。刺突閃」


 俺はボートの上から見える限りのゾンビを、刺突閃で仕留めていった。


「警官隊が来れば、何とかなるだろうがな」


 それにオリバーのボディガードが言った。


「手が足りてないだろうな。都市部だけでも、酷いありさまだろう」


「だな」


 川が途切れ、草むらに着岸した。そこで俺がオリバーに言う。


「まずは俺とタケルが先に行く。皆は後からついてこい」


「わ、わかった」


 そして俺とタケルがジャンプして陸地に立った。そこには、ゾンビは見当たらないが、空港の奥の方にはゾンビの気配がしている。


「同じだな」


「そうかい」


「タケル! 駆除するぞ!」


「りょーかい」


 俺とタケルは広い空港を走り抜けていき、空港に氾濫しているゾンビに向けて剣技を放つ。


「飛空円斬」


 見える範囲のゾンビが崩れ落ち、俺達は構わず先に進んだ。


「空港の中もゾンビだらけだ」


「全部、掃除するのか?」


「いや。クキ達の到着を待つ」


 すると遅れてクキが、全員を引き連れてやって来る。


「お前ら速すぎるぞ」


「大丈夫だ。あとは、建物の中にいるだけだ」


 そしてオリバーや、オリバーの父親が息を切らしていた。


「はあはあはあ」


「す、凄いな。あんたも、としじゃろ」


 オリバーの父がエイブラハムに向かって言うと、笑って答えた。


「こいつらと一緒に旅をして、しごかれましたわい」


「良くついてきたもんじゃ」


「わしゃ、若返ったんじゃよ」


「ほう」


 そこでタケルが言う。


「爺さん達の井戸端会議は後でいいだろ」


 すると、それを聞いていたオリバーが笑う。


「あっはははは! お兄ちゃんは気持ちがいいな。相手が誰だろうが関係ない」


「今は、先を急ぐんだっつーの」


「そうだな。父さん、飛行機はどこか?」


「それが、わしゃ乗るだけだからな。管制塔かどっかに行かないと、おいてる場所までは分らん」


「なっ!」


 それをクキが遮る。


「いい。飛行機は他にもありそうだ」


 見渡せば、あちこちに飛行機があった。プライベートジェットじゃなくても、飛べればどれでもいい。


 それを聞いてシャーリーンが言う。


「出来れば、離陸前の機体を選びましょう。燃料が入っているはずだわ」


「よし。空港に入るぞ」


 そこで俺が言う。


「後ろをついてこい」


 空港の建物に入れば、直ぐに俺達に気づいたゾンビが寄ってくる。


「日本じゃ、空港は安全エリアだったのにね」


「米軍の救出の結果がこうなった。いずれにせよ、ゾンビの性質を知らんとこうなる」


「そうよね……」


 ターミナルにはゾンビがウロウロしており、争った跡があちこちにあった。俺達はそのまま、ターミナルを進んでいき、飛行機乗り場に行く。まだ、電気が通っているので、あたりは人がいてもおかしくない状況だった。


「皆! 出発間際の便を探して!」


 シャーリーンの指示で、ミオが答える。


「えーと、ブラジル行き、カナダ行き、フランス行き、いろいろあるわね」


「では、一番近い乗り口に」


「じゃあ、フランス行きだわ」


 俺達がそちらに進み、ゾンビを倒しながら奥へ来た。俺が先に入り、飛行機の中のゾンビを全て処分していく。そして仲間達が、飛行機の搭乗口から運び出した。


「パイロットと乗務員だな」


「なんまんだぶなんまんだぶ」


 そしてシャーリーンとクキが、奥へと進んでいく。


「では、飛ばします」


 シャーリーンが操縦席に座り、クキがその隣に座った。


 するとタケルが言う。


「えっと、俺、ファーストクラス行ってもいいか?」


 クキが答える。


「好きにしろ」


 操縦席に、シャーリーンとクキとクロサキ……オリバーの父親が残った。


「父さんも上に」


「いや、操縦席なんて入った事無いもん」


「父さん……」


 だがクキが笑って言う。


「いいんじゃないか、オリバーさん。別に」


「すみません」


 すると、オオモリまでが言う。


「僕も、見てみたいっす。ここからの光景」


「好きにしろ」


 そして俺がハッチを締めて、皆がファーストクラスとやらへと上がっていく。そこは部屋のようになっているが、十人が入るにはきつそうだった。


「ヒカル! 私達はビジネスにいきましょ!」


 ミオが腕を絡めてきた。


「わかった」


「わたしもいく!」

「ちょっと、美桜! 抜け駆けはダメ」

「そうよ、私も!」


 タケルが笑う。


「おうおう。もてる男は辛いなあ」


「なっ! タケル、俺はそんなんじゃ」


 するとオリバーが言った。


「私はラッキーボーイともっと話がしたい」


「へいへい」


 ファーストクラスに、残ったのはタケルと、アビゲイル、エイブラハム、ルーサーの息子。


 他は皆、ビジネスクラスに座る。すると機内の放送がなった。クキの声だった。


「とりあえず飛ばすからな。立ち歩いてこけるなよ」


 それを聞いたオリバーとボディガードが座ってベルトをする。俺達は適当にその辺りにいて、次第に飛行機が動き始めた。グッと力がかかるが、誰一人としてバランスは崩さない。


 飛行機は、一路ワシントンに向けて飛び立つのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ