表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
573/628

第573話 勇者パーティー軍艦を拾う

 戦艦から、ボトボト落ちて来るゾンビは止まった。それでも警察官や自警団たちは、まだ次の奴が落ちてこないかを見張っている。


 タケルが腕組みをして、俺にぼそりと言う。


「気配感知では、あの軍艦どうなってる?」


「中もゾンビだらけ……全滅だな。恐らく、救出者から広がって感染爆発したのだろう」


「ずいぶん、デカい船だけどな」


「タケルに、なにか考えがあるのか?」


「多分だけどよ。軍艦って軍人が、数週間は生きれる分の食料を積んでるんじゃねえかな?」


 それを聞いて俺はピンときた。そこでタケルに言って見る。


「俺が沖縄沖で、海軍と戦った時は大量にあったぞ。アイスクリームをたらふく食った」


「そうだったな!」


「タケル。ゾンビにはもう食料は不要だぞ」


「確かに、そのとおりだ。もらうか」


 そこで銃を構えて軍艦を見ている奴らに、俺が大声で言う。


「あんなにゾンビが落ちてきたって事は、この軍艦は汚染されてる。たぶん船内はゾンビだらけだろう。船上には、上がって来れないようだな」


「確かに……」

「あの中にゾンビが……」

「気味が悪い。いつ出て来るか分からねえ」


「その通りだ! 一旦ここを封鎖したほうが利口だぞ!」


 ゾンビの残骸が転がる中で、警察と自警団は顔を合わせた。周りをみて、状況に気が付いたらしい。


「どうするか……」


 そこで、タケルも皆に言う。


「船をどかしたいが、まず出てくるかもしれねえゾンビを囲わねえと」


「そうだな。どうしたものか……」


 なるほど、ここにいる連中も、ゾンビに対しての対応などした事が無いらしい。


 そこで、タケルはすぐに案を出す。


「トラックとかバスで囲っちまえば良いんだよ。出て来たところで、乗り越えられねえようによ」


「なるほど! それだ! トラックとバスを集めよう!」

「おう!」

「そうだな!」

「急げ」


 そして数人を残し、男達が居なくなった。まあ、変に思われないように追い払っただけだが。


「じゃあタケル。行くぞ」


「おうよ」


 タケルが、明後日の方向を指さして言う。


「おい! ありゃなんだ!」


 皆が一斉にそっちを向いた瞬間、俺はタケルを掴んで軍艦の上空に飛び上がった。

 

 トン! と甲板に降り立ち、タケルが笑う。


「気づかれてねえよな?」


「いきなり消えて驚いている頃だろう」


「幽霊だと思ったりしてな」


「そうかもしれない」


 そんな無駄口を叩きながらも、軍艦の中に入る入り口を開けた。廊下の壁やガラスに血が付いており、ゾンビとの戦いの跡が見られる。


「こっちだ」


「しらみつぶしにいくかぁ!」


「ああ」


 軍艦の内部に進めば、軍人のゾンビがうろついている。


「よっ!」


 ズン! タケルが一気に三体を潰した。打撃の武技を身につけており、ゾンビに特化したタケルのスキルだ。そして俺とタケルは、次々にゾンビがいる方向へ向かい討伐する。


「結構いるなあ」


「数百の気配はある」


「とにかく、船を壊さねえようにしねえと」


「ああ。もちろんだ」


 飛空円斬のような大量技を使えないので、そこそこ時間がかかりそうだった。一人も生き残っている奴がおらず、広い部屋には一般人のゾンビがうようよいた。


「せっかく救出されたのになあ」


「残念だ」


「なんまんだぶなんまんだぶ」


 すべてのゾンビの気配を潰し終えるのに、一時間の時間を費やした。


「ふう。あとは?」


「終わりだ。気配感知には、いない」


 そしてタケルは、置いてある椅子に座り天井を見上げる。


「船でゾンビが発生したら、直ぐ全滅すんだな」


「それを言うなら、恐らくは飛行機もだろう」


「確かに。むしろ、広大な荒野や、山に逃げ込んだ方が可能性があるか」


「逃げ場があるからな」


「だとよ。小さな島でゾンビが出たら、あっという間じゃねえのか。日本みてえによ」


「それはそうだろう」


「だと守ってる奴らも、正解ってこった。ま、いずれにしろ、この島に上陸しそうなゾンビは消した」


 そして俺達は甲板に出て、次の行動に移った。


「タケルは、船の方向を指示してくれ」


「あいよ」


「じゃあ、船を動かすぞ!」


 そう言って俺は服を脱ぎ捨て、再び海パンツ姿になった。そのまま船の後方に走って、海に飛び込む。スクリューは止まっていたが、俺は船のスクリュー部分を掴んで引っ張る。


 ゴゴゴ、ゴガン!

 

 岸壁に乗り上げていた船首部分を引っこ抜き、どんどん沖に向かって戦艦を引っ張り泳いだ。


 ザプン!


「タケル! どっちに向ければいい!」


「あー、こっちこっち!」


「了解だ!」


 俺はまた海に潜り込み、タケルが言っていた方向に向けて船をむける。


 ザバ!


「こんな感じか?」


「ああ、この先に船団がいる」


「了解だ」


 そして俺はまた水中に潜り、スクリュー部分を押して泳ぎ始める。すると船がゆっくりと進み始めた。それから三十分ほど水中に潜り続けて、軍艦を押して泳いでいると音が聞こえる。タケルの合図だ。


 ガン! ガン! ガン!


 ザバ!


「どうだ?」


「そろそろ、船の速度を落としてくれ。じゃねえと船団に突っ込む」


「了解だ」


 船の速度を落とし、俺は一気に甲板に飛び乗る。俺とタケルが仲間の乗る、船に向かって手を振った。すると俺達を見つけた、ミオ達が気づいてこちらに手を振っていた。


「おーい! 食料持って来たぞ!」


 タケルが言うと、皆が顔を合わせて喜んでいた。


「いったん、船の状況を伝えて来るから待っててくれ」


「わかった。んじゃ待ってるぜ」


「ああ」


 そして俺は、軍艦から船へと飛び移った。だがそれを見ていた、一般市民がざわついている。


「おい、気のせいか……」

「いや、三十メートルは飛んだよな」

「ロープで飛んだんじゃないのか?」


 その声は気にせず、俺はクキのところに行く。


「クキ!」


「随分なものを持ってきたな」


「タケルと話したんだがな、この中にきっと食料があるだろうと」


「ああ、その通りだ。有事の際には、数週間から数ヵ月の食料を積みこむ」


「よし……、ただ問題がある」


「どうした?」


「中には、数百体のゾンビの残骸だらけだ」


 それを聞いてオリバーや市民達が、驚愕の表情を浮かべた。しかしそこで、クキが言う。


「軍艦の方が安全だ。総出で、ゾンビ掃除する必要がある」


 すると、一般市民達が騒ぎ始める。


「いやだ! ゾンビがいる船に乗りたくない」


 そこで俺が首を振った。


「いや。ゾンビは全て仕留めた。中にあるのは残骸だ」


「やだわ! そんなところに行きたくない」


「なるほど」


 するとそこで、ミオが声を張る。


「行きたい人だけ行けばいい。ただ、皆で力を合わせて綺麗にする必要がある。それをやったものだけ、その労力を惜しまない者だけが、食料にありつけると言うだけよ」


 シーンとする。そしてオリバーとオリバーの父親が言う。


「私は行く。父さんは……」

「もちろんワシもいくがな」


 オリバーの父親が振り向いて言った。


「ワシに、ついて来る義理立ては無い! 残るのも自由だ! そしてこの船は残った者に貸そう」


 人々は顔を見合わせて、ぞろぞろとオリバー達の方に来る。もちろんオリバーのボディガードも、ここの使用人も全てがこっちに来た。俺はそれを見て、残った奴らに言う。


「人数が減れば、この船に残った食料でもどうにかなるだろう」


「そうさせてもらうさ」


 そして俺は振り向いて、軍艦のタケルに言う。


「タケル! 橋をかけろ」


「へいへい」


 ハシゴが船と船に橋渡しされ、そこを伝って一人また一人と軍艦に移っていった。


「じゃあオリバー。他の船にも連絡だ」


「そうしよう」


 各船の人間達も、軍艦へと乗り替えていった。八割は軍艦に乗り込んだが、残る者もいるようだった。


 甲板に人々を集めて、タケルが大声で言う。


「んじゃあ、仲間達は全員参加、あと力持ちも手伝ってくれ。中に死体がごろごろしてからよ、それを片付けねえと気持ち悪くて仕方ねえ。後は甲板で、海に投げ入れる手伝いだ」


 それを聞いて仲間達が一斉に船の中に入っていく。何人かの男達も、俺達と一緒に行く。俺達の軍艦、ゾンビ残骸掃除が始まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ