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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
538/613

第538話 カジノで大勝した結果

 夜になると、町はがらりとその姿を変えた。色とりどりの灯りが町中を埋め尽くし、ドバイの夜にも似た雰囲気となる。シャーリーンがホテルに言い、女達のドレスや男連中のスーツを用意した。そして俺にも新しいル〇ヴィ〇ンが支給され、少しキラキラする生地のスーツを着ている。


 窓から街を眺めるマナが言う。


「うわあ。素敵だわ」


 女達が興奮している。


「でしょ。やっぱりラスベガスは夜よね」

「宝石箱みたいね! 早く行こうよ」

「そうだよ。行こ! ヒカル!」


 ドレスアップした女達が、ホテルのエントランスに降りると客の目を引く。それだけ、皆が綺麗に見えているのだろう。


 街に出てみると、昼よりも賑やかで人々が楽しそうにしている。


「まず。行きたい所があるの!」


 ミオが皆を連れて来た場所は、キラキラの路地。


「どう? ヒカル」


「綺麗だな」


 その通路は天井に映像が映し出され、人が天井を見上げている


 タケルが楽しそうに言う。


「なんだ! 天井一面がスクリーンになってるのか!」


「素敵でしょ!」


 俺達はしばらくそこで、天井を見上げ楽しんだ。


「面白いな」


「このあたりはカジノだらけなのよ。まあ、私は行った事無いんだけど」


「そうか。行きたいんだな?」


 するとタケルが大きな声で言う。


「行きてえ! 早く行こうぜ!」


 そして早速カジノへと向かった。そこでシャーリーンが説明を始める。


「まずは用意した身分証明書を提示して入ります。とりあえず、遊ぶだけの現金を持って入り、遊びたいゲームがあったらディーラーに現金を渡してチップにします」


 注意事項を聞いた俺達は、カジノへと入る。タケルとオオモリがつるみ、ルーレットとやらに座った。クロサキとアビゲイルとシャーリーンが一緒になり、ポーカーの台に付いて、クキとエイブラハムがスロットとやらの前に座って遊び始めた。


「皆もやったらどうだ?」


 ミオ、ツバサ、ミナミ、マナは何故か緊張しており、ツバサが俺に言う。


「何をしたらいいのか分からない」


「適当にやってるのを、見てみればいいんじゃないか?」


「そうしよ!」


 俺達は、まずタケル達が遊び始めたルーレットの後ろに立ってみる。


 なるほど、グルグル回る玉が数字に落ちるから、そのまえに数字や色に賭けるらしい。


「よっしゃ。ぜってー当てる!」

「僕もやりますよ!」


 そしてルーレットが回り、玉がクルクルとその周りを回り始めた。


 タケルが叫んでいる。


「黒の二十八! 来い! 来い!」


「黒の六か赤の九! たのむ!」


 二人は食い入るように見ている。


 カラン。


 黒の十五。


 ザッと、プラスチックのチップが取り去られた。


「ちっくしょう! かすりもしねえ!」

「おかしいな、当たると思ったんだけどな!」


 そして今度はタケルが黒の二十八にもう一度掛けた。大森は変えて、黒の二十と赤の二十一に跨って掛ける。賭けるのにも性格が出るようだ。


 そして俺達は次に、クロサキ達が座っているゲームの所に行く。


 テーブルには五人が座っていて、各自が二枚ずつのカードを持っている。前には四枚のカードが並んでおり、ディーラーが何かを聞くと、知らない二人がフォールドと言ってカードを戻した。


 クロサキとシャーリーンとアビゲイルが、にらめっこをしながら言う。


「ベッド」


「コール」


 それを聞いてアビゲイルが自信なさそうに言う。


「えっとどうしよう。ダメかな、どうかな」


「アビゲイルさん。自信がないなら降りたらどうです?」


「そうですね。この場合わたしとシャーリーンさんの勝負になるんじゃないですか?」


「い、いや。いきます! コール」


 そうしてディーラーが五枚のカードを並べた。


「ベッド」


「え、えっと。コールで」


「じゃあ……コール」


 これで賭けは終わったようだ。最初にシャーリーンが指をさされる。


「フフ」


 シャーリーンが一枚一枚カードをめくるとディーラーが言う。


「ストレート!」


 それで、その台を見ていた観客がざわつき始めた。シャーリーンがどや顔で、クロサキとアビゲイルを見ている。だがクロサキが落ち着き払って、カードをめくった。するとディーラーが言う。


「フラッシュ!」


「「「「おお!」」」」


 テーブルがドヤつく。


「えっと、なに? 負け? なに?」


 そう言ってアビゲイルがカードをめくる。


「フォーカード。ウイン!」


 するとテーブルに出ていたチップが、全部アビゲイルのところに移る。


「嘘でしょ!」

「やられた!」


「ふふ」


 どうやら、アビゲイルが一枚上手のようだ。そうしてまた次のカードが配られていた。


「なるほどな」


「あっちもみてみよ!」


 そうして俺達は、クキとエイブラハムの所に行く。


 それは金を入れてグルグルと回る機械だった。


「どうだ、クキ?」


「ぼちぼちだ」


「エイブラハムは?」


「遊び程度じゃな」


「それは良かった。


 そしてそれから、俺と女達は違うゲームを覗きに行く。あちこち見ているだけで楽しく、俺達は時間が過ぎるのも忘れていた。するとそこにタケルとオオモリが来る。


 ミオが聞く。


「どうだった?」


「負けたぁぁぁぁ!」

「すっからかんですぅぅ!」


「そう、うまくはいかないか」


「ちくしょう」

「儲かると思ったんですけどねえ」


 なんて話していると、そこにクロサキとシャーリーンとアビゲイルも戻ってきた。


「お、来たか。アビゲイルは勝っていたようだが」


 するとフルフルと首を振って言う。


「結局、他のお客さんやディーラーに負けて、三人ともほとんど無くなっちゃいました」


「なるほど」


 そんな事を話していると、クキとエイブラハムがやってきた。


「まあ、儲かるようには出来ていないようだ。だけどドクターは」


「ぼちぼち増えたくらいじゃ。まあ辞め時が肝心じゃな」


「そうか」


「ヒカルたちはやらないのか?」


 するとミオが答える。


「みんなが遊んでいるのを見ただけで、面白かったし」


「やってないのか?」


 俺達は首を振る。するとタケルが言った。


「いや。皆やってみろって、せっかく来たんだしよ」


「そうですよ。何事も経験です」


 すると女達は顔を合わせて頷いた。


「んじゃ、やってみようかしらね」

「そうね」

「経験よね」

「じゃ、やってみる」


 そうして四人が座ったのは、ブラックジャックというゲームだった。なんでも、手札が配られて最後に二十一になると一番強いらしい。


 それから女達は、勝ったり負けたりしながら手持ちの金を減らしていく。


「たまに勝っても、負けの方が多くて減っちゃう」


「むずかしいわ」


 俺は全ての賭けを見て思った。皆はどこか負けるかもしれないと思ってやっている。


「それでは勝てん」


 そう言うと仲間達の視線が俺に向かう。


「ヒカルは勝てるの?」


「勝てる」


 皆がどよめく。


「やってみる?」


「じゃあ、あれが良い」


 そう言って俺達はまた席を移した。


「バカラか」


「これのルールは、九になれば一番強い。勝てば倍、負ければ取られる。そしてバンカーとプレーヤーのどっちが勝つかに賭ければいい」


「すげえな。ヒカルルールも把握してるのか」


「グルグルずっと見てたからな」


「じゃあやって見たら?」


 そして俺が一人、他の人間が座っているところへ座る。


 カードを振り分けられ、ディーラーから聞かれる。


「プレイヤーオアバンカー?」


簡単な事だった。皆がバンカーに賭ける中で俺が言う。


「プレイヤー」


 カードをめくられる。


「プレイヤーウィン」


「おお! すげえな! ヒカル!」


「こっちが勝つと分っていた」


 すると次のゲームが始まった。そしてまたディーラーに聞かれる。


「プレイヤーオアバンカー?」


「プレイヤー」


 カードがめくられてディーラーが言う。


「プレイヤーウィン」


「「「「「「おお!」」」」」」


 仲間達が盛り上がり始める。そして次のゲームが始まった。


 カードが配られ、俺は手持ちのチップの全部賭ける。


「プレイヤー」


「プレイヤーウィン!」


 すると仲間達だけじゃなく、観客も盛り上がり始めた。


 そして次のゲームが始まる。


 タケルが言った。


「そろそろ。バンカーが来そうだけどな?」

「ですよね!」


 そして次のカードが配られて俺が言う。


「プレイヤー」


 皆があっけに取られている。


「おまえ、バンカーにも賭けて良いんだぞ」


「プレイヤーだ」


 そしてカードがめくられた。


「プレイヤーウィン!」


 観客が集まり始めた。仲間達がワーワーと騒いだせいで、俺のテーブルが盛り上がってしまっている。


「四連続かよ!」


 そして次のカードが配られる。


 皆が固唾を飲んでみているが、俺は普通に勝つ方が分かった。


「プレイヤー」


「おいおい、いくらなんでも」


 そしてディーラーが言う。


「プレイヤーウィン!」


 流石に、周りがざわつき始めた。毎回全額かけていたため、かなりのチップになってしまった。それを見てオオモリが言う。


「もう。十万ドルですよ」


「ん、いくらだ?」


 するとクキが言う。


「千四百万円くらいだな」


 そこで俺が言う。


「皆の手持ちの金を全部、俺に貸してくれ」


 そう言うと皆が手持ちのチップを俺によこした。そしてディーラーに言う。


「これを賭けてもいいか?」


「イエス」


 俺はそれをテーブルに置いた。そしてまたカードが配られゲームが始まる。


「プレイヤーオアバンカー」


「プレイヤー」


 俺がそう言っただけで、大きくざわつく。


「どうなってんだ……?」

 

 すると隣に座ってる、老人が言った。


「わしもプレイヤーじゃ!」


 すると他の奴らもプレイヤーに賭けた。


 カードがめくられる。


「プレイヤーウィン!」


「「「「「「「ワアアアアアア!」」」」」」」


 それを見てクキが言う。


「ひりつくぜ」


「全くだよ九鬼さん」


「鳥肌が立ちます……」


 そこでミオが俺に言う。


「も、もういいんじゃない?」


 だが俺は首を振る。


「いや。まだだ」


 そうして俺は次のゲームも次のゲームも、その次のゲームも買った。

 すると今度はクキが言う。


「ヒカル。もう日本円で二億四千万だ。もう十分だ」


 だがタケルがそれを制した。


「いや! ヒカル! イケイケ!!」


「じゃあ、次で終わる」


 そう言うと、その場にいた奴らが一斉に沸いた。


「いいぞあんちゃん!」

「俺も乗るぜ!」

「わしもじゃ」


 そしてカードが配られ、ディーラーが顔色変えずに聞いて来る。


「プレイヤーオアバンカー?」


「プレイヤーだ」


「「「「「「「おおおおおお!」」」」」」」


「わしも!」

「おれも!」

「俺もだ!」


 そしてそのゲームが終わりを告げる。


「プレイヤーウィン!」


 物凄い人だかりができており、そして俺はディーラーに言う。


「やめる」


「オーケー」


 そして俺はディーラーに一万ドルのチップを渡して言う。


「プレゼントだ」


「サンキュー」


 チップを抱えテーブルを離れると、隣りに座っていた老人が握手を求めてきた。


「あんちゃんのおかげで大勝ちだ! 礼を言う」


「たまたま運が良かっただけだ」


「いや。強運過ぎるね!」


「今日だけだよ」


 すると老人が言う。


「どうじゃろ! 今日は大勝ちした事だし、仲間達にも食事をおごりたい! 一緒にどうかね?」


 するとクキが頷いた。


「いいんじゃないか?」


「なら、美味いものが食いたい」


「いいねえ。ラッキーな男と飯が食いたかったんじゃ!」


 俺達は、そう言う老人について行く事にしたのだった。

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