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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第516話 米国家感染症研究所を監視

 米国家感染症研究所のそばにある、雑木林に囲まれた公園の駐車場に車を停めた。キャンピングカーの中では、オオモリが国家感染症研究所にハッキングを試みている。


 俺とアビゲイルとエイブラハムが、オオモリと一緒に残り他の皆が周辺の調査に向かった。なぜこのような状況にあるかというと、俺が国家感染症研究所の気配感知をした時に、ゾンビの気配が一切しなかったためである。


 アビゲイルが言う。


「やはりファーマー社とは別という事でしょうか?」


「じゃないですかねえ」


 俺は何故か、エイブラハムと二人でチェスを楽しんでいた。もちろん思考加速も何もせずに、ルールを聞いてやっているが、まだ一度もエイブラハムに勝つことができない。


「奥が深いものだな」


「そうじゃろう。どうじゃ、うちの孫の嫁にならんか」


 だがオオモリとパソコンを覗き込んでいたアビゲイルが言う。


「お爺様! 私の気持ちも聞いて」


「だって誰が好きか教えてくれんのじゃもん」


「それは……いいの」


「ふーん」


 そんな会話をしているうちに、オオモリがふうとため息をつく。


「入れました。データの確認が出来ます」


「凄いわ! 流石ですね」


「そうですか? 大したこと無いです。ヒカルさんが発信機を取り付けて来てくれたからです」


「それでも、凄いですよ」


 そしてオオモリがアビゲイルに聞く。


「それで博士、何から調べましょうかね?」


「ジェフ・ベイツの身辺調査をお願いします」


「わかりました」


 カチカチとパソコンを操作し、サッと表示させる。


「見たいのはこんなところですか?」


「これもその一つです。そして呆れますね、数回の不明金が自分の口座に入ってます」


 オオモリがパソコンを指さして数えた。


「いち、じゅう、ひゃく……五千万ドル! えーっと、七十四億円!」


「何の金なのか……」


 そしてエイブラハムが言う。


「とりあえず、皆を呼び戻した方がええじゃろ」


「そうね」


 オオモリが皆のスマートフォンに通達をした。俺達が待っていると、一人また一人と戻って来る。そしてミオとマナが言った。


「アメリカの町並みも素敵だったわ」

「ほんとね。日本とは全然違う」


 それにクキが言う。


「ちゃんと見て来たんだろうな」


「もちろん」

「同じく」


 そしてそこにクロサキが戻って来た。オオモリがクロサキを呼ぶ。


「黒崎さん! 見て欲しいんですが、ジェフ・ベイツの金の流れなどを掴んだんです。何か分かる事とかないかなと思いまして」


「見せてください」


 クロサキはさかのぼったデータを見ている。そして、大きな金が定期的に振り込まれているようだ。


「大森さん。振り込みの日程と額を一覧で表示してください」


「あ、はい」


 オオモリが操作すると、不明な入金の一覧が出来上がる。


「似たような金額ですね。こんな額が……」


「そうみたいです」


「振込先は?」


 オオモリが表示した画面には、いろんな会社の名前が出て来た。それをみて、クロサキが何かに気が付く。


「これは、実在しているのでしょうか?」


 オオモリがしばらく情報を操作し、いろんな角度から調べていく。


「多分。どれも存在していない会社です。実際の登記などは情報操作でされているようですが、その現地にはどこにも存在していない会社のようです。少なくとも衛星からの撮影で、地図の何処にも存在していません」


「入金先を、追えないようにしている……のですか」


「そのようです。大スキャンダルですよね。暴露出来たら大事になりそうだ」


「それには時間がかかりすぎますね」


 そしてまたデータとのにらめっこか続いた。だがクロサキがまたある事に気が付く。


「ああ……一つの謎が分かりました」


「なんです?」


「この振り込みは昨日、そしてこれは先週」


 日付を確認しつつ、俺達に向かって言った。


「私達が直面した、数々の事件の日、周辺に振り込まれています」


 オオモリがある日付のデーターをグラフで表示する。


「なるほど……」


 それを見てクキが言った。


「ベルリン、ローマ、ニューオーリンズ、フォートリバティ。その周辺で振り込まれている」


「そう言う事です」


 そして、それを聞いたアビゲイルが怒りをはらんだ顔で呟いた。


「口止め料……」


「そうでしょうね」

 

「国家感染症研究所が調査に乗り出さないように、もしくはそれらの情報を漏らさないようにしている。その為の口止め料で、このような大金を」


 そしてまたクロサキが言った。


「次に、ジェフ・ベイツ局長の行動予定と履歴を調べてください」


「でるかな?」


 そうやってオオモリが調べる。すると直ぐに見つかったようだ。


「ジェフ・ベイツの秘書課のパソコンと、全員のスマートフォンにアクセスできます」


「調べてください」


 そうして調べているうちに、オオモリが嬉しそうに言う。


「でましたよ! 見てください! どこかのサーバーで拾った監視カメラに面白いのが映ってます」


 そこには、ジェフ・ベイツと会う金髪のスーツ男が映っていた。それを見てアビゲイルが言う。


「なるほど。モーガン・ウイリアムですか。ファーマー社CEOと接触している訳ですね」


「やっぱり繋がってたんですね。調査は正しかったんです」


 そしてクロサキがもう一度オオモリに聞く。


「ですが、少し変というか……。これはどこで会っている映像なんでしょう?」


「流石にここに、モーガンウイリアムは来れないでしょうしね」


 パチパチとオオモリが弾いて言う。


「公式な場ではなく、どこかの公園でしょうか? データから見ると、西海岸のほうみたいです」


「なるほどです」


「どうします?」


 するとタケルがにやりと笑って言う。


「なあ、ジェフ・ベイツさらっちまおうぜ」


 皆がタケルを見た。


「本人からいろいろ聞いた方が早えだろ」


 そう言うと、皆が顔を合わせて大きく頷いた。そして一斉に俺の顔を見る。


「こいつを連れて来ればいいのか?」


 クキが答える。


「その通りだ。だがまずは、コイツの動きを察知しなければならん。オオモリのハッキングと合わせて、張り込みをする必要がありそうだな」


 クロサキが言った。


「張り込みならお任せください。潜入も出来ます」


 そこで俺が言う。


「いや。コイツの居所を突き止めるだけでいい」


「わかりました」


 そして俺達はジェフ・ベイツ捕獲の為に動き出すのだった。

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