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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第507話 アメリカ特殊部隊VS勇者

 部屋を出て音も無く走り、特殊部隊が入ってきた方向に向かう。すると何やら鉄のミミズのような物が天井から出て来たので、剣技で断ち切った。武器ではなさそうだが、放ってはダメな気がした。


 さらに行くと、小さな車が廊下の先から出て来たので、直ぐに刺突閃で破壊してみる。敵の動きはいいが、やはりクキほどではない。気配がつかみやすく、どの程度の人間が潜んでいるのかが分かる。


「隠形、認識阻害、金剛、結界、思考加速」


 身体強化を施して、一気に部隊のいる場所に出ると、十人ぐらいが距離を置きつつ待機していた。


「なっ」


 一瞬気づいた奴が居たが、一秒以内に十人の意識を刈り取った。そしてそいつらが持っていた武器を破壊し、直ぐに先の後続がいる場所に向かった。通路や部屋に上手く潜み、待ち伏せをしているようだが、気配感知で位置は簡単につかむことができる。俺が倒した奴が、持っていた無線機から声がした。


「アルファ。応答せよ、アルファ」


 放置していたら、ザッと無線が途切れる。


 どうやらこいつらは上の階層から下ってきたようだ。後続は上の階にいる。


 いた。


 走りながら、次々に兵士を制圧し先に進むと、目の前にコロコロと丸い鉄の塊が転がった。


 ボグン!


 それが突然爆発したが、金剛と結界によりスーツに穴も開かなかった。爆発と同時に兵士が続々と飛び出すも、一秒以内に全ての意識を刈り取る。


 本当にクキじゃなくて良かった。これがクキ並みの能力を持っていたら、こんなに簡単に上階に上がって来れなかったかもしれない。


 なるほど。


 どうやら敵は、仲間が潜む部屋の真上にいるようだ。全てを制圧し部屋に辿り着くと、床に向けて何かの機械を設置しているところだった。


 俺が声をかけてみる。


「そんなことをしても無駄だ」


「撃て!」


 ガガガガガガ! と機銃の掃射が俺を襲うが、既に俺はそこから消え一気に制圧する。躊躇せずに撃つのはいいが、音と煙で相手を見失っては意味がない。俺を認識する事は難しいが、クキならば勘で直ぐに気が付くだろう。


 俺は一気に屋上までたどり着く。そこに兵隊が待ち構えており、ヘリコプターが飛び回っていた。俺はすぐに屋上を制圧し、ヘリコプターのプロペラに向かって剣技を繰り出した。


「刺突閃」


 するとヘリコプターは、プロペラが止まり落ちて行く。


 狙撃者がいるか……。


 他の建物からこちらを狙っているようだが、やはり認識阻害と隠形を使っている俺を捉える事は出来ないようだった。周囲は完全に兵士達に囲まれており、戦闘車両もわんさかと囲んでいる。


「どっちだ」


 俺が逃げる方角を確認すると、その途中にも軍隊が潜んでいるのが分かる。


 住人は避難したようだな。


 人は避難したようで、周囲には軍人しかいないようだ。俺は、人の気配が全くしないビルに向かって剣技を繰り出す。


「大龍深淵斬! 推撃!」


 ジュキン! ドン!


 次の瞬間、俺が狙ったビルは、斜めに切れて崩れ落ちていく。


「うああああ!」

「攻撃だ!」

「ビルが崩れた!」

「退避!」


 だが俺は、次に退避する方角に向かい、力を押さえた剣技を放つ。


「剛龍爆雷斬!」


 ゴバアン!


 地表で大爆発を起こし、数個の建物が崩壊した。その事で外がパニックになり始める。


「迫撃砲だ! 狙われている!」

「こんなところにか!」


 それを確認した俺は、一気に皆がいる部屋に降りクキに言う。


「特殊部隊は制圧した。外がパニックになっている間に、作戦を決行しよう」


「車両はどうだ」


「わからんが、より取り見取りだ」


「なら」


 タケルに目配せをし、俺とタケルが部屋を出る。


「どうする?」


「そうだな。入り口からだと狙い撃ちされるだろうから、壁をくりぬこう」


「了解だ」


 俺とタケルが外側に面している部屋まで行く。


「この壁の向こうには兵士がいない。巻き添えを食らわせる事はなさそうだ」


 俺が壁に推撃を放った。


 ドゴッ!


 壁が吹き飛び、壊れた壁が吹き飛んで行った。


「行くぜ」


「よし」


 俺達が外に出ると、軍隊が騒然としていた。爆撃を受けたと思い、避難を始めたらしい。


「おーおー。ビルをぶっ壊したのか」


「あのビルに人はいなかったからな」


「爆撃されたとでも思ってるんだろうな。軍隊は引いて言ったようだぜ」


「だが通れない場所を作ったから、逃げるなら一方方向にだけだ」


「計算したんか」


 そう。俺はこの世界に来て、都市での戦いはマスターしている。


「そうだ。ついてこい」


 俺が走りタケルがついて来る。通りの先に出るとタケルが言った。


「本当だ。部隊が戻ってくるぞ。向こうのビルも壊したんだな」


「あれを頂こう」


「百人くらい、いるけど任せて良いか?」


「もちろん直ぐに終わらせる」


 俺が縮地で車両と、兵士達のところに出現し一気に制圧し始めた。まずは周辺の歩兵を黙らせつつ、装甲車の上にいる機銃を構えている奴を掴んで投げる。そこから社内に入り込み、直ぐに黙らせた。


 ん。これはどうやって停める?


 停め方が分からないが、中に座っている奴らの首根っこを掴み、外にポイポイと放り投げた。


「ヒカル!」


 丁度よくタケルが来る。


「タケル! この車を頼む。全員乗れそうだ」


「おうよ」


 そして俺が指さしてタケルに言った。


「タケル! あの砲が、こちらを狙ってる」


「戦車だ!」


 俺はすぐに縮地で、狙っている戦車に飛びつき剣技を放った。


「断鋼裂斬!」


 バグン!


 戦車の砲や車輪を切って止める。そしてすぐに他の装甲車に飛びついて破壊した。その間にも、周辺の兵士達を弱い推撃で制圧していく。


「よし」


 周囲が静まり返ったので、一旦近くのビルに向かって強推撃を放った。


バグゥ!


 大きく土煙が上がり、俺は直ぐにタケルの乗っている装甲車に戻る。


「派手に暴れるねえ」


「その方が誤魔化せる」


「ちげえねえや」


 そうして俺達の装甲車が、皆が待っている建物に辿り着くと、既にクキ達が壊した壁のところに来ていた。皆は、口と目だけが出た帽子をかぶっている。クキが俺達に帽子を渡して来た。


「お前達もかぶれ」


「ああ」

「サンキュっす」


 そして後ろから縛られた軍人たちが、女らに引っ張られて出て来た。


「この三人を連れていく。装甲車の天井に縛り付けよう」


「や! やめろ!」

「何だ…爆撃でも受けたのか」

「お前達…ただのテロリストじゃないな!」


「だから。テロリストじゃねえって! わりいけど、あんたらは盾になってもらうからよ」


「くそ!」


 俺達は話を聞く事は無く、三人を天井に括り付けた。俺も天井の縛られた軍人のそばに座り、皆が後部ハッチを開けて車内に乗り込んでいくのだった。

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