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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第489話 アメリカ本土へ向かう

 ゴムボートで進みながら、シャーリーンが衛星通信を使って仲間達に連絡を取った。俺達のゴムボートは、救出に来たクルーザーに拾われる。クルーザーには仲間達が乗っており、どうやら船の手配に手こずっていたらしい。


「遅くなりました」


 クキが言う。


「シャーリーンに水だ。脱水症状を起こしている」


「経口補水液を持って来てます」


「頼む」


 クキと俺にも同じペットボトルが渡され、俺達はそれを飲んだ。シャーリーンもようやくありつけた水に、ホッと一息ついている。


 オオモリが言う。


「凄い爆発があったようですね」


「恐らくは核爆発だ。施設ごと消し去ったようだな」


「よく無事でした」


「潜水艦と一緒に逃げて来たからな。だが他にも潜水艦はいたかもしれん」


 そしてシャーリーンが、背負子から防水の袋を取ってオオモリにデータを渡す。


「これが基地で録ったデータです」


「わかりました」


 直ぐに衛星通信を繋いで自衛隊につなげる。自衛隊員が出てカブラギにつなげてもらった。


「九鬼隊長。ご無事でしたか」


「ああ。酷い化物を見た。ファーマー社が潜水艦でそれらを運び出した可能性がある。海上の秘密基地でしか管理できない試験体を、大陸に運び込んだかもしれん。潜水艦は捕らえられないが、荷物の運び込みは必ずある。俺達が入手したコンテナと潜水艦のデータを送るから、それらが運び込まれた場所をチェックして欲しい」


「わかりました。監視衛星で監視を続けます」


「メキシコ湾岸と、大西洋沿いを重点的に頼む」


「は!」


 そして俺達のクルーザーは、バミューダ島へと到着した。


「直ぐに出発しましょう」


 どうやらオオモリ達は潜水艦を追う為に、移動の手続きをして待っていたのだった。


 オオモリが俺達に言う。


「ヒカルさん達が乗っていた潜水艦の航路から推測されるのは、アメリカかメキシコです。そこでひとまずどちらにも行けるように、航空機のチケットを確保しました」


 海図には予測された航路が二つ引かれている。一本はメキシコ、一本はアメリカのフロリダった。


 アビゲイルが言う。


「アトランタにファーマー社の本拠地があるのですが、どこかに潜水艦の基地があると思うのです。それは恐らくフロリダがジョージア、ノースカロライナのあたりだと思うのです」


 それを聞いてクキが言う。


「いい判断だと思う。だが米軍を掻い潜って、潜水艦の基地がそんなところにあるだろうか? ヴァージニアにはデカい基地もある。俺が思うにはこのあたりだ」


「ニューオリンズ?」


「まあ…勘だがな」


 それを見てシャーリーンが言う。


「私もそう思います」


 それを聞いてオオモリが言った。


「分かりました。急ぎニューオリンズ行きを手配します」


 だがシャーリーンが言う。


「いえ。フロリダで良いかと。カリム様の息のかかった企業があります。移動手段が入手できます」


 それを聞いてクキが頷いた。


「決まりだ。まずはフロリダに飛ぼう。それからメキシコ湾を周りニューオリンズに行き、そこからアトランタに行く」


 皆が頷く。


「良かったです。チケットをとる時間が省けました」


「でかした」


 そして俺達はすぐに、旅立つ準備をする。


「いよいよアメリカね」


「海底ケーブルを使って通信した時に切断された国。この国のどこかに、秘密を知ってる人がいるわ」


 俺達は空港に到着し、オオモリがハッキングをして俺達の荷物をパスさせた。普通の観光客として乗り込み、皆は日本語を使わないようにという事を徹底する。滅びた国の言葉を使う奴が飛行機に乗ってきたら、怪しまれる可能性があるからという事だ。もちろんパスポートは全く違う国の人間になっているが、日本人が居たら声をかけられるだろうと言う意味もある。


 アメリカにいる日本人がどんな扱いを受けているのか分からないが、ザ・ベールのハンジが言うには、アメリカにも組織はあるという事だ。到着したら、直ぐにハンジに連絡を取る事になっていた。


 フロリダに降り立つと非常に気候も良く、穏やかな場所だった。世界のどこかではゾンビがはびこり、世界のどこかではギャングが横行しているというのに、これ以上ないような穏やかな雰囲気が漂っている。白い平屋が建ち並んでおり、自然豊かで静かな場所のようだ。


「随分と平和な街だな」


「今までのところに比べら雲泥の差だ。本来は日本もこのくらい安全だったんだぞ」


「そうだったのか…」


 人々も普通に生活をしており、平和そのものである。


 そこで俺はアビゲイルに聞く。


「こんな国に本拠地があるのか?」


「ええ。一番大きな施設があります」


「ここに…試験体を運ぼうとしてたという事か」


「そうなると思います」


 そこでクキが難しい顔をして言う。


「俺が一つ気になっている事がある」


「なんだ?」


「潜水艦は何隻あっただろう?」


 俺とシャーリーンが顔を見合わせる。そしてシャーリーンが言った。


「私達が居た棟には潜水艦が一隻だけでしたが、あそこには何基もの海洋プラントがありました。他の基地から数隻出た可能性は無いとは言えませんね」


 クキは俺に聞いて来る。


「どうなんだ? あの時の気配は」


「流石に分からん。基地のゾンビ化人間の気配は遠のいたが、あのコンテナは特殊で気配が読みづらかった。もしかしたら他にも潜水艦はいたのかもしれない」


「なら…急ぐしかなさそうだな」


 直ぐにシャーリーンがスマートフォンで連絡をし、カリムの息がかかった者にバスを手配する。


 タケルが言う。


「流石は石油王だな」


「フロリダは富裕層が多いですから、お金が動きやすいというのもあるのです」


「なるほどね」


 まもなくバスが到着し、運転して来た奴が降りてシャーリーンに鍵を渡す。俺達はバスに乗り込んで、まずは自衛隊に通信を繋げた。


 するとすぐにカブラギが出る。


「良かった。繋がりました!」


「どうだった?」


「写真と地域を送ります」


 衛星で撮った写真には、俺達が進入したコンテナと同じものが映っていた。


 そしてそれが取られた場所は、クキが言うとおりのニューオリンズだったのである。


「さすがは九鬼さんです」


「本当に勘だよ」


 そこでミオが言う。


「ではハンジさんに連絡を繋げましょう。ザ・ベールがこの国のどこかにいます」


「そうしよう」


 俺達の乗るバスは進み、ミオが通信を始めるのだった。

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