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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第481話 大ギャングの殲滅開始

 俺とクキとクロサキとシャーリーンの四人が、ポルトープランスの夜の繁華街に来ていた。俺はいつも通りのスーツだが、クキとクロサキとシャーリーンもワザと金持ちそうな服装をしている。明らかに治安の悪そうな方向へ向かって、四人が酔ったふりをしながら談笑をして歩いているのだ。


 クキが言う。


「いやぁ……流石に俺でもこんなのは狂気の沙汰だ。世界でも有数の治安の悪い地域で、金持ちの格好をして女連れで歩いているんだからな」


 それにシャーリーンが答える。


「でもミスター大森が言うには、女は格好の標的になると」


「そうだな。男は殺され女は犯されるらしいな」


「なら餌は必要でしょう?」


 自分の事を餌というシャーリーンの肝っ玉が、なぜか前世のエリスを思い出させる。エリスが自分をオトリにして、ゴブリンの巣で一網打尽にした事があった。あの時はまだレベルも低く、エリスは俺を信頼しきっての作戦だった。結果はゴブリンを殲滅、誰も傷を負う事はなかった。だがあれは馬鹿なゴブリンだからこそできた事で、人間の銃を持った奴ら相手ではない。


 まあ…俺のレベルも、あの時とは全く違うが。


 クロサキが言う。


「それにしても汚すぎる。これでは病気が蔓延しそうです」


「確かにそうだな。こんなのは人の住む場所じゃない」


「ですね」


 だが俺達が歩いていると、唐突に二人の男が近づいて来た。そいつらは軍服を着ていて、銃を持っている。だが見る限りこの国の人のように黒い肌ではなく、色白で顔つきも西欧人のようだった。


「お、おいおい! あんたら! 何だってこんなところを歩いてるんだ!」


 彼らの言葉は英語だった。そこでクキが答える。


「旅行で来たから飲みに行くんだが?」


「だめだ。ここから先は危険だ! 直ぐにホテルに戻れ」


「あんたら国連軍か?」


「そうだ。治安維持と復興の為に来ている」


「どんな危険が?」


「ニュースを見てないのか? ギャングの無法地帯と化しているんだ」


「ふむ。なるほど」


「分ったら戻れ!」


「そうか。そうだな、それじゃホテルで飲み直しするとしようか」


 俺達は適当に頷く。


「んじゃ、ご苦労様。市民の安全を守ってくれ」


「まあ、俺達だって危険なんだ。ほどほどにしておくしかない」


「だろうねえ。じゃあ頑張って」


 クキがそう言って、俺達はその場所から立ち去る。


「さて困ったな。どこかから入り直さないと」


「治安を守る軍隊か……それはそれで厄介だな」


「彼らは彼らで面倒ですね」


「都市の八割がギャングに支配されているという割には、なかなか会わないものだな」


「この安全地帯を国連が守っているからでしょう」


 だがその時だった。どこからか銃声が聞こえ始める。


「銃声だ」


「行くぞ」

 

 俺達は急遽、銃声のする方角に向かう。そこで銃撃戦がおきていて、隠れた兵士達が遮蔽物の後ろで構えていた。


「見つけたな」


 シャーリーンが言う。


「ギャングに集中してる隙に、向こう側に潜り込めないでしょうか」


「行ってみよう」


 銃撃戦が起きている場所を迂回し、暗くて危険な路地裏へと入り込んでいく。だがそこで俺は殺気を感知した。


「左のドアに入れ」


 俺が言うと、三人は息を合わせたようにドアに飛び込む。


 ガガガガガガガ!


 唐突に俺が撃たれるが、金剛と結界により傷を負う事は無かった。先をみると、建物の三階に数名のギャングが潜んでいるようだ。


「ギャングだ」


「軍隊が回って来るのを待ち伏せしてたんだろう」


「一般人を、すぐに撃つんですね。危険すぎるわ」


「そのようだ。三人は、ここで合図を待て」


「わかった」


 俺はそこに三人を残して、直ぐにギャングがいる建物に迫る。認識阻害をかけて三階に登ると、部屋には二人のギャングが居た。窓の外を見ているので、俺はそっと近寄って意識を刈り取る。


 正面の建物に三人、俺は窓に向かって突進した。向かいの建物の窓に突入しつつ、剣技を繰り出す。


「推撃」


 ビチャ! 三人は潰れ壁が崩れ落ちる。そして俺は窓からスマートフォンを持ち、クキ達にクルクルと回して合図をした。すぐに三人が俺のところに走り込んで来る。


「その建物の三階にいる」


「わかった」


 その建物に侵入し三階にくると、俺が意識を刈り取った二人が倒れている。そいつらを後ろ手にクキとシャーリーンが縛り上げ、俺が気を発して目覚めさせた。


「う、うう……」

「あう……」


「おきろ」


 ゆっくり目を開けて、クキを見たギャングが暴れ出そうとした。


「動くな。殺すぞ」


 クキがコンバットナイフを、ギャングの喉元に突き付けている。


「ひっ」


「お前達はサウザンド・ディーモンか?」


「「……」」


 二人は黙っている。


 ズン!


「ぎゃあ!」


 クキが、ギャングの太ももにナイフを刺してもう一度聞く。


「次は心臓をえぐる。お前達はサウザンド・ディーモンか?」


「そ、そうだ!」


「痛てえ! いてえよお!」


 クキが刺してない方に言う。


「こいつを黙らせろ」


「お、おい! 静かにしろ! こいつらきっと特殊部隊だ!」


「うぐぐ……」


 なるほど。特殊部隊だと勘違いしてくれているようだ。するとクロサキが言う。


「そう。私達は国連の特殊部隊。通称ミンチの居場所を探している」


「い、言わねえ。言ったらミンチにされる。それなら逮捕して刑務所に入った方がましだ」


 するとクキが言った。


「特殊部隊は何でも許されている。情報を吐かないなら、ここで殺害し次の標的を見つけるだけだ」


「う、うそだろ」


 ズッ! とナイフを抜いて、顔の前に持ってきて言う。


「大将。コイツを押さえてくれ」


 俺がそいつを抑えると、クキがナイフを目の玉に近づけた。


「俺の顔が、この世で最後に見る顔だ。よく覚えておけ」


 そういってナイフを突きつけようとした時だった。ギャングが言う。


「ま、まってくれ! やめてくれ!」


「なら早く言え」


「ボスは、今日この町に来ている! 俺達はその指示でここに来た! このあたりの国連軍を追い散らせって言われている!」


「ほう。国連を追い払ってどうするつもりだ?」


「……知らない! そうしろと言われただけだ」


 ザクッ!


 するとクキは、もう一人の太ももにコンバットナイフを刺した。


「本当の事を言え」


「ぎゃあ! やめろ! やめてくれ!」


「本当の事を言ったらやめる」


「だから本当だって! 俺達は言われた事をやるだけだ!」


 するともう一人の方が、割れた窓の向こう側の建物に向かって叫んだ。


「おい! 助けろ! こっちに特殊部隊がいる!」


 もちろん、既に俺が潰してしまったので答えるわけがない。


「あっちは全員死んだ。お前達しかない」


「な…」


 二人はガクリと項垂れた。


「本当の事を言え」


「……国連を追い払ったら、本部隊が安全地帯のホテルを襲撃する。そこで金持ち達を殺して金を奪う予定だ」


「なんだと……」


 俺達は顔を見合わせた。


「という事は、こんなところでのんびりしてられんな」


「だな」


 俺は縛られた二人を、三階の窓から外に放り投げた。急ぎ部屋を出て、元来た道を戻り仲間達のいるホテルに戻った。部屋では早くに帰って来た俺達を迎え入れ、事情を聞いて来る。それに俺が答えた。


「どうやらギャングは、このホテル街を襲撃に来るらしい。こっちから行く手間が省けそうだ」


「あっちから来るんだ……」


 だがクキが言う。


「ギャングも馬鹿じゃない。それなりの手勢を集めてくる。相当な数が来ると思って間違いない」


 そこで俺が行った。


「出来れば、全員来てくれると手間が省けるんだがな」


 タケルも笑って言う。


「ギャングが来るんだぜ。嬉しそうに言うなって」


「だが、楽なのは確かだろう?」


「まあな」


 その間も銃声が響き続けていたが、ツバサがみんなに言う。


「多数の車両がこちらに向かっているわ。どうやらギャングは国連を退けたようね」


「大した警戒は、してなかったみたいだからな」


 そして俺が言う。


「それじゃあ。市民が殺される前に、迎え撃つぞ!」


「「「「「「おう!」」」」」」


 俺達は装備をし、騒ぎの起きる前の静かなホテル街へと飛び出していく。オオモリのハッキングで持ち込んだ銃を携帯し、それぞれの得物を持っていった。


 そして散開する前にクキが言った。


「ほとんどはヒカルがやるだろう! ヒカルの攻撃を避けて逃れてきた奴を、俺達が全て掃除するぞ! 敵に襲撃される前に、こちらから攻撃を仕掛けるんだ。敵はゾンビじゃない、武器を強奪して有効に使い殲滅すること。恐らくボスは率先しては来ないだろう、兵隊をあらかたやっつけたらボスを探す」


「「「「「「了解」」」」」」


 そうして俺達はホテル街に散開していく。


 俺が一番端のホテルの屋上に行くと、夜景の向こう側から長い車列がやって来るのが見える。もちろん大規模殲滅の剣技を使えば一瞬で終わるが、一般市民を大量に巻き込むことになるだろう。建物が密集している場所では使えない。


「よし」


 シュッ!


 俺はその屋上から、一番前を走る車両に向けて二百メートルほど跳躍する。


 ドグン!


 最初の車両のボンネットに落ちると、大きくへこみ車の尻が持ち上がって来た。


「冥王斬」


 飛び上がる車両をバラバラに切る。そうしなければ近隣の住宅に被害が出るからだ。その後ろから来た車に、一瞬で飛び剣技を打った。


「大龍深淵斬!」


 並ぶ四台の車が真っ二つに斬れ、左右の電柱や止まっている車に激突する。切れた四台先まで一瞬で到達すると、その先から来る車に向かって剣技を撃った。


「推撃!」

 

 ゴボン! とその車がひしゃげ、後ろから来る車が激突した。その後ろの車が急ブレーキをかけて止まったので、再び剣技を繰り出す。


「冥王斬!」


 周辺の住居を壊さないようにするために、なるべく車に集中した。


 剣技を逃れた奴が路地裏に逃げていく。だが次々に車が来るので、それらを放っておくしかなかった。それから二十台の車を破壊し、最後の一台を始末した後で銃声が聞こえ始めたのだった。

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― 新着の感想 ―
あいかわらず、人間もゾンビも関係なく容赦なく倒しまくるのが爽快で良い。今後もストレスフリーでよろしく!(最近お気に入りの作品が鬱展開になってしまったのでショックでした・・・)
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