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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第478話 カリブ海クルーズへ

オランダ領アルバに到着し、女達が最高に盛り上がっている。


「綺麗! リゾートといったらこうじゃなくちゃ!」


 ミオが言うとツバサも頷いた。


「うんうん! 嘘みたい。まさかこんなところに来れるなんて」


 それに対してクキが言った。


「遊びじゃないんだがなあ」


「クキ。メリハリが大事だと言ったのはお前だ」


「おっしゃる通りだよ。三日前は、核弾頭の直撃を喰らったかもしれないんだからな、少しぐらいは、いい思いしてもいいだろう」


「そうだ」


 俺達はオオモリがハッキングで予約したホテルのテラスで、青空の下、色とりどりの酒を飲んでいた。葉を使って作られた日傘の下で、パイプで作られたベッドに寝ながら話をしている。


 そう言うクキもサングラスをして、海水パンツでくつろいでいた。


「その酒は美味いのか? クキ」


「ホワイトレディってカクテルだ」


「これはどうだ? 甘くて美味いぞ」


 俺が自分が飲んでいる酒を差し出す。瓶とコップをもらって、自分でついで飲んでいるのだ。だがそれを見てクキが言う。


「お前がさっきから、がばがば空けているそれはラム酒ってやつだ。普通はカクテルとかで割るんだがな、ヒカルにかかるとまるでビールみたいに見えて来る」


「甘いから飲みやすいぞ」


「いやいや! ラム酒を飲みやすいと言って、ビールみたいにのむ奴なんかいない。それにヒカルは何本目だ?」


「いや、まだ四本目だが……」


「ま、ドン・サルバトーレのところでの飲みっぷりを見たから驚かないけど、普通の人間なら死ぬ量を平気で飲むからな。それに酔わないってのは、いったいどういう事だ?」


「ドン・サルバトーレのところでは少しほろ酔いだったが?」


「樽を何個も開けてほろ酔いって言う意味が分からん」


「そうか。そういうものか」


 そこにタケルが来て言う。


「いやあ…目の保養だな。見ろよ」


 視界の先には浅いプールで遊んでいる、ミナミとマナそしてアビゲイルもいた。アビゲイルはすっかり明るくなり、皆とも遊ぶようになったのだ。


 クロサキとシャーリーンは、涼しそうな恰好で日傘の下で酒を飲んでいる。オオモリはこんなところに来ても、ずっとパチパチとパソコンを触っていた。


 ツバサが言う。


「さ。ヒカル! 私達もいきましょ」


「ん?」


 すると反対側の手をミオが取って言った。


「ほら」


「わかった」


 俺はミオとツバサに連れられて、マナ達が遊んでいるところに行く。ぱしゃぱしゃと水を跳ね上げて、楽しそうにしている女達を見ていると、まるで平和になったかのような錯覚に陥る。


「いい気持ちよ! ヒカル!」


 ミナミがそう言って水をかけて来た。するとマナもミオもツバサも一斉に、俺にバシャバシャと水をかけてくる。それがなんとも心地よく、俺はされるがままに水をかけられている。


「ほら! ヒカル! 反撃してきなさいよ!」


 そうマナが言った。俺は皆と同じようにバシャバシャと水をかけ返す。そこにタケルが来て笑いながら言った。


「おーおー! 青春してるねえ!」


「ほら! 武!」


 タケルにも水かかけられた。


「おっ! やったな! それ!」


 ワイワイと水かけが始まった。しばらくそうやっていると、オオモリから声がかけられる。


「皆さん。集まってください」


 俺達がそれをやめ、オオモリのところにやって来る。俺達が集まってパソコンの画面を見た。


「計測結果が出ました」


「どこだ」


「カリブだけではなく、バミューダ海域も視野に入れた方が良いでしょう」


 するとタケルが喜んで言う。


「聞いたことあるぜ! バミューダトライアングル!」


「なんだそれは?」


「船や飛行機が、謎の失踪を遂げる事件が数多く起きてるとこだよな?」


 それを聞いたマナが言う。


「都市伝説じゃないの?」


 それを意外な人が制する。


「いいえ。都市伝説ではありませんよ」


 声を発したのはシャーリーンだった。


「「「「「えっ」」」」」


「どういう事だい?」


「事実、行方不明になっており、その原因も消息も分かっていません。カリム様が趣味で、捜索隊を編成してバミューダに送ったのです。ですが数隻のうちの一隻が忽然と姿を消して、それが未だに解決されていないのです」


「なるほどねえ……」


 そこでクキが言う。


「範囲はわかるのか?」


「恐らく、カリブからトライアングルの中心地あたりかと。潜水艦じゃないですかね?」


「なるほどなあ…それはいささか危険だな」


 そう言われ俺が答える。


「じゃ、俺が泳いで行って見ればいい」


 それを聞いてアビゲイルとエイブラハム、シャーリーンが目を丸くする。エイブラハムが言った。


「泳いでとは? 船で近場まで行くという事か?」


 そして俺はオオモリが表示している地図を指さした。


「ここから先が危険なんだろう? ならば俺が泳いでみて来る」


 するとシャーリーンが言う。


「プエルトリコ。ここから船を出すという事ですね?」


「違う。ここから泳いで探す」


「「「……」」」


 そこでクキが言った。


「まあ、とりあえず現地に行ってから考えよう」


 するとシャーリーンが言った。


「かしこまりました。直ぐにクルーザーを手配します」


「助かる」


 するとマナが言った。


「あー。短いリゾートだったわ」


 ミオが答える。


「またいつか、平和になったら来ましょう」


「「「さんせーい」」」


 そして俺達はすぐに荷物をまとめた。シャーリーンがカリムの力を使い、大型のクルーザーを用意して俺達は荷物を詰め込んでいく。


 そこでミオが言う。


「カリブ海クルーズなんて。夢みたい」


「俺が気配を感知しつつ進むから、皆は衛星で確認してくれ」


 皆が頷いた。


 俺達が乗るクルーザーはプエルトリコに向けて出港した。海に出て早速、俺は船首に立ち周辺の海域の気配を感知し始める。


 クキが言った。


「愛菜。衛星は捉えたか?」


「ええ。監視衛星からの映像が届くわ」


 皆がその映像を見始める。俺はただ海を見つめ、おかしな気配がしないかを感知し続けるのだった。

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