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終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
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第360話 非効率なレベル上げの見直し

 各国のパスポートを全て入手したにも関わらず、皆は基地に戻らないでゾンビの駆除を優先していた。それだけ海外にスパイとして潜入する事が、皆にとって重圧になっているのだろう。今はクロサキとミオ、ツバサ、ユンがトラックに戻って休憩している。


 みんなが何故か、面白そうにしていると感じてしまうのは俺の錯覚だろうか? クキは軍服のまま続けているが、他のみんなは店で回収した同じデザインの服を着てやっている。


 それを見たクロサキが、あっけに取られて言った。


「本当にトレーニングじゃないですか!」


「そうか?」


「だって、全員が同じジャージを着て、どんどんチームワークが高まってきてますよ」


「あれの言い出しっぺはタケルだ」


「タケルさんが?」


「なんでも、チームワークとやらをあげるのにいいとか言っていた」


「まあ確かに、もっと連携に磨きがかかりそうな気はします」


「それに動きやすいし、持ち運びも良いから、限界まで汚れたらリュックから出して着替えるんだと」


「まあそう言う私まで着てますけどね」


 すると一緒に居た、ミオが言う。


「黒崎さんも連携に慣れてきましたよね!」


「ええ。美桜さんと翼さんが、ゾンビをあっさり感知するので不意をつかれる事がないです」


 それを聞いてミオが俺に言って来る。


「あのねヒカル」


「ああ」


「黒崎さんの能力が見えて来た気がする」


「ほう、どんなものだ?」


「見てもらった方が良いかも」


「じゃあ後で俺が見よう」


「そうだね」


 まもなくクキの隊が戻って来た。マナとユリナ、リコ、ユミが一緒にいる。全員のリュックサックがパンパンで、マナが俺に言う。


「ヒカルが喜ぶのあったよー」


「おお、なんだ?」


「まあ、お酒の事はよくわからないんだけど、九鬼さんがいうから」


 クキが言った。


「ヘネシーエリプスだ。めちゃくちゃ高い酒だぜ」


「ほう」


「まだあるぜ。こっちはワインだがな、ロマネコンティとペトリュスだ」


 既にトラックの中には俺用の箱が用意されてあり、そこの中には高級な酒が詰まっていた。皆が戻って来るたびに、俺に酒を持って来てくれるのでいっぱいになったのだ。


 そこにミナミとタケルとヤマザキが戻って来る。


 そしてミナミが言う。


「ただいま! あのね! ヒカルが喜びそうなのがあったよ!」


「おお!」


 すると今度はヤマザキが説明をする。


「アルマンドブリニャックだ! 高級なシャンパンだぞ」


「そうなのか?」


「そしてもっと凄いのが、山崎の五十年だ!」


「凄いのか!」


「そりゃもう」


 また増えた。


 そして最後にタケルが言った。


「あと駅にあったぞ! ル〇ヴィ〇ン! ちょっと目立つけどいい感じのスーツ!」


 それを広げてタケルがどや顔をしている。


「いい仕立てだ。すまんな」


「いいって!」


 そして俺がみんなに聞く。


「いろいろ回収は順調なようだが、ゾンビ狩りはどうなってる?」


 するとユミが言う。


「それも、やってるよー。でもなかなかレベル上がらない。数がいっぱいいるからいいけど、流石に体力は無尽蔵じゃないと分かったし」


「そうね。まああちこちで自由に食べたり出来るのは良いけど、さすがにしんどくなってきたわ」


 そこでヤマザキが言う。


「二百万人からの都市だからな、ゾンビは尽きない。だがやはりゾンビをいくら狩ってもレベルが上がらないな」


「ここにきてクロサキはもう一つ上がったがな。やはり皆は、ゾンビでは上がらない限界まで上がってしまっているのかもしれん。もっと大量に狩らないとダメだろう」


「やり方を変える必要があるんじゃないかしら?」


「確かにそうだな」


 するとクキが言う。


「なんで銃じゃダメなんだろうな」


 クキが言うとおり、何故か銃だけがダメだった。


「確かにな…」


 冒険者達は、剣や棍棒だけで戦っていたわけじゃない。魔法で戦ったり、地の利を利用して石を落としたり…。


「あ!」


 俺が気が付いて驚きの声を上げる。


「どうした?」


「そうだ。やり方を変えよう!」


「ん? どんな?」


「恐らくだが、銃は自分の純粋な力じゃないからかもしれん。石を投げても倒せばレベルが上がるはずなんだ」


「ほう」


 クキが返事をし、皆が俺の言葉に耳を傾ける。


「おびき寄せて石で潰しても経験値は入るはずだ」


「そうなのか?」


「そうだ。そしてここにはビルがある」


「で?」


「立体駐車場というのがあるだろう。あれを使おう」


「ほうほう。どんな?」


 俺はタケル達に言う。


「前に東京でいろいろやっただろ?」


「ああ、東京ゾンビ会な」


「あんな感じだ。とにかく工夫してやるんだ。俺がやるんじゃなくみんなで」


「…面白えじゃねえか…」


 そして俺は皆にどうすべきかを話す。それは、あのとき敵をおびき寄せた方法と同じだった。おもちゃや音の出るものでおびき寄せ、一網打尽にする。


 クキが不思議そうに聞いて来る。


「それだけ?」


「そう。それだけ」


 それを聞いて仲間達が言った。


「やろう! だいたいやる事は分かった!」


「じゃあ、スピーカーとか電飾とか集めよう!」


「よし!」


 皆が理解をして言う。


 タケルが叫んだ。


「ゾンビ一網打尽計画発動だな」


「「「「「「「「「おー!」」」」」」」」」


「物集めから、実際に手を下すまで、全員がやらなきゃいけない。とにかく皆でやる事に意味がある。協力し合って物資を集めよう」


 そして俺達は皆のレベルアップの為に、新たな計画を始めるのだった。

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