表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末ゾンビと最強勇者の青春  作者: 緑豆空
第六章 青春の冒険編
324/615

第323話 同盟国海軍との接触

 真っ青な沖縄の海の上、俺はタンカーの甲板で潮騒を聞きながら、海水パンツ一丁で寝っ転がりその時を待っていた。この海水パンツというのがぴっちりしていて、なかなかに動きやすい。


 日光が照り付けるも海風が心地よく吹きつけ、瞑想をするのにはもってこいの静かな時間だ。静かに目をつぶり、瞼の上から赤く照らす太陽の光を感じている。こんな美しい海なら、みんなと一緒に酒でも飲みながら水浴びをしたら気持ちいいだろう。


 すると一羽の海猫がパタパタと俺の側に降りて来た。俺が目を開けて海猫を見るが逃げる気配もない。それは俺の意識が、全く海猫に向かってないからだ。


「おい。ここは危ない、どこかへ行け」


 だが海猫はそこから離れようとしなかった。


 困った。このままここにいたら巻き添えをくらっちまうだろう。そうしたらこんな海鳥の一羽や二羽はあっという間に飛び散ってしまう。そこで俺はごそごそとリュックから、仲間が用意してくれたサラミを取り出した。


「食うかな?」


 サラミを海猫の前に置くと、海猫はそれをつまんで飛んで行ってしまった。


「そうか。食うのか」


 ガガッ! と俺のそばに置いてある無線機がなる。


「ホンジツテンキセイロウナレドモナミタカシ、ササブネヲホソク、スミヤカニショリサレルガヨロシ」


「リョウ」


 これは暗号と言うものらしい。オオモリが言うには、絶対に傍受されない回線に改造してあるらしいが念のための処置なんだとか。声の主はクキだった。


 きたか…


 この静かな青い海を血に染めるのは惜しいが、肉食魚の餌も必要だろう。このあたりにはそう言う魚も多いと聞く。


 俺は立ち上がり、自衛隊が用意してくれていた物の準備を始める。タンカーの上には、沖縄の敵軍基地や港から回収した大砲や機銃が乗せてあった。ハルノが言うにはそれらを敵に向けて、とにかく引鉄やワイヤーをひけばいいらしい。


 すると空の向こうから何かが飛んできたようだ。音と近寄る速度からすれば、恐らくジェット戦闘機という類の乗り物だ。恐らくは二機連なって飛んできている。


「えっと、航空機の場合はこれだったか」


 俺は自衛隊に教えてもらった、スティンガーとか言う筒を持ち上げた。それを空中に向けて待ちかまえる。


「見えたら撃つんだな」


 ジェット機が見えて来たので、そいつの引き金を絞った。すると長細い管のようなものが飛び出して、それが一気にジェット機に向かって飛んでいく。だが撃った方向が悪かったのか、ジェット機はそれに反応して容易に避けられてしまう。


「簡単には、あたらんな」


 仕方がないので、日本刀を抜き剣技を繰り出す。


「空接瞬斬 二連」


 次の瞬間、二機のジェット機は空中で分解された。だがこれで、相手はここに敵がいる事を知ったはずだ。ここまでは作戦通りだが、純粋に罠に引っかかってくれるかどうか。


 しばらく待っていると、また空を何かが飛んで来た。


「あれは…ミサイルか」


 手を変え品を変えていろいろとやってくるもんだ。


「まずは機銃を撃つ、だったか…」


 そして俺は、敵基地から奪取した機銃を空に向けてスイッチを押した。ズドドドド!と猛烈な音を立てて、火線が飛び出すが全く距離が足りない。


「難しいな…空接瞬斬!」


 あたらないので、すぐさま日本刀に持ち替えてミサイルを斬った。ミサイルは空中で爆発し空に火の花を咲かせる。


 さてと、次はどう来るか?


 そう考えていると、視界にとらえられるくらいの距離で艦艇が見えて来た。どうやら俺がジェット機やミサイルを墜としたことで、警戒をしているらしい。


「次はこれだったな」


 俺は十メートルほどある大砲を、その艦隊の方角に向けてワイヤーをひく。


 ドン! という音と共に敵艦隊に弾が飛んでいくが、残念ながら艦艇からかなり離れた所に着水した。すると次の瞬間敵の艦隊から次々に音が聞こえて来る。どうやらミサイルが多数放たれたようだ。


 俺はこれを待っていた。俺は精神を集中させて、ミサイルがタンカーに着弾する寸前を待つ。


「龍波斬 四連!」


 ミサイルはタンカーにあたる寸前に爆発した。俺はそれに合わせて、もう一つ海に向かって剣技を放つ。


「大地裂斬」


 するとタンカーの前に、巨大な大波が起きた。そこで俺は次々と発煙筒をつけて、タンカーの甲板上にばら撒いて行く。あたりは一気に煙まみれになり、恐らくタンカーは被弾したように見えるだろう。


 しばらくすると今度はヘリコプターの音が聞こえて来る。恐らくこちらの状態を確認しに来るのだろう。俺は甲板からサッと艦橋の下に隠れた。ヘリコプターは距離を置きながらも、タンカーの上をグルグルと飛び回っていた。


「さて…」


 煙が邪魔をしているためか、なかなか近づけないでいたヘリコプターが、ゆっくりとタンカーの上空に来た。するとヘリコプターから何かが降り注いできて、甲板の上で爆発していく。


 手榴弾だ…。


 それでも俺がじっとしていると、ヘリコプターは更に高度を下げ兵士達がロープを伝って降りて来る。甲板に降りた兵士達は、銃を構えて煙の中を進んで来た。すると途中に置いてある兵器を見て驚いているようだ。もちろん自分の国の兵器が甲板に並んでいるのを見たら、不思議に思うだろう。


 俺は巨大な機関銃の後ろにこっそり立って、甲板にいる兵士達に向けスイッチを入れる。


 ブオオオオオオオオオオ! という音と共に、甲板にいた数人がバラバラになって飛び散った。すると数名が伏せてこちらに銃撃をしてくる。だが俺は結界と金剛で全く受け付けない。


 敵が何かを申し合わせているように掛け声をしているが、俺には朧気にしか言っている事が分からない。だがその答えはすぐに出た。


 煙を吹き飛ばして、突如ヘリコプターが甲板の上に出現したのだ。次の瞬間、俺が撃ったのと同じような機銃がこちらに降り注いでくる。俺はスッと艦橋からタンカーの中に潜り込み、そこから姿を消した。


 銃声はまだ聞こえているが、俺はそのままタンカーの中に降りて行き甲板の下に到達する。


「大龍深淵斬」


 俺が船の上部に向けて剣技を繰り出すと、甲板上部がスパン! と切れ落ちて来る。空が見えて、瓦礫と一緒に兵器や敵兵が落ちて来た。兵士達は、あっという間に瓦礫に巻き込まれて潰れてしまった。


 瓦礫の上の煙の上に、ヘリコプターがやって来たので剣技を繰り出す。


「冥王斬」


 浮かぶヘリコプターが真っ二つになり、壊れたタンカーの上に落ちて来た。落ちて爆発し、俺は爆炎に包まれる前にそこから飛び出して甲板の上に立つ。艦隊の方を見ると、まだこちらには近づいて来ていない。


「じゃあ、こっちから行くか」


 俺は三本の日本刀を、耐水バックとやらに入れて背負う。そしてタンカーの縁に立ち海に飛び込むのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ